内容説明
戦国の世に生き残りをかけて勃発した、武田遺領をめぐる徳川・北条・上杉氏の熾烈な戦い。全領主に勢力拡大の機会が訪れた稀有の大乱の経過や、国衆・一揆の動向など新事実を加え、再び江湖に問う。写真・図版も充実の増補改訂版!
目次
第1章 武田勝頼滅亡と本能寺の変(武田勝頼の滅亡;武田領国の解体;本能寺の変)
第2章 各勢力、動き出す(上野の情勢;甲斐・信濃の情勢;徳川家康の動向;北条氏直の動向;上杉景勝の動向)
第3章 三者鼎立(徳川家康、窮地に陥る;北条氏直の甲斐侵攻;上杉景勝、北信濃を固める)
第4章 天正壬午の乱終結へ(家康対氏直;信濃国衆の動向;徳川家康危機を脱す;徳川・北条同盟の成立)
著者等紹介
平山優[ヒラヤマユウ]
昭和39(1964)年、東京都新宿区生まれ。立教大学大学院文学研究科博士前期課程史学専攻(日本史)修了。専攻は日本中世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、山梨県史編纂室主査、山梨大学非常勤講師、山梨県教育庁学術文化財課主査、山梨県立博物館副主幹を経て、現在山梨県立中央高等学校(定時制)教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポチ
55
信長亡き後の草刈場と化した、甲信越での徳川、上杉、北条の戦い。記実が詳細に渡っており動きが見える。それにしても甲信越を領土に出来なかった北条の弱さが目立った。2017/10/04
roatsu
20
天正10年、武田亡き後の甲信動乱の様相と顛末を、その後の影響まで含めて綴る壮大な同時代史。読み物として圧倒的に面白い。平山先生の文章は簡潔だが緻密で時系列もよく整理され、述べられていることがスッと頭に入ってくる明晰さがあって好き。甲州征伐から本能寺の変を経て徳川、上杉、北条各勢力が介入する中、どんな史劇が繰り広げられたかがよく理解できる。真田昌幸、依田信蕃という武田遺臣の凄さには改めて脱帽し、最大戦力を動員できた北条の不振にその後の運命を予感する思い。登山をする身としては韮崎の七里岩や奥秩父は雁坂峠を経2020/04/02
鯖
20
真田丸視聴前に予習。タイトルは武田氏滅亡(天正10年3月)、本能寺の変(同年6月)と続く激動の年に、滅亡した武田領をめぐって起きた徳川北条上杉の対立と、そこに絡む甲斐信濃の小領主たち(真田、木曽等)の戦いを表すもの。…春に武田が滅んで、夏に信長が死んで、秋には徳川と北条が和睦して、この乱は一応、決着する。激動の一年というか、もうこの年に、ここで戦った人全てにお疲れ様と言いたくなるというか。善悪も大義もなく、もう仕方ないよという気持ちになってしまう。ユーゴの内戦も思い出しつつ、改めて怖ろしい年だなと思った。2016/02/07
スー
19
1信長亡き後の甲斐・駿河・信濃・上野の覇権をめぐって北条・上杉・徳川が激闘を繰り広げていたと単純に思っていましたが、そんな簡単な話ではなかった。駿河は信長が決めた通り徳川と穴山で定まり甲斐は信長の徹底した残党狩りで空白地帯となっていて徳川と北条草狩り場となり信濃と上野は3勢力による国衆の取り込み合戦となり勢力図がコロコロ変わって難しい。小勢力の生存競争に敗れた者達に悲哀を感じた。2020/01/02
YONDA
17
「徳川対北条の戦いで、和睦はしたけど徳川が実質勝利したんだよね」程度の事しか知らなかったが、そんな簡単な図式ではない。家を残すためにどちらにつくべきか悩む国衆。そんな国衆の取り合いが勝敗の鍵を握り、数の上では徳川軍を圧倒していた北条が勝ちきれなかったのも国衆の動向が原因。信濃・諏方・佐久・小県の国衆の悲哀。諏方頼忠・木曽義昌・小笠原貞慶・真田昌幸ら、生きるために必死な国衆。その中でも依田信蕃の一途さが好き。この後は天下人・秀吉が出張ってきてしまう。酒井忠次が信濃で失政しなければ歴史は変わっていたかな。2018/07/19