内容説明
執筆一一〇年の“視差”で甦るジョイスのダブリン市民。『ダブリナーズ』出版100年記念論集。
目次
「姉妹たち」―一九〇四年の「姉妹たち」、あるいは一一〇年のパララックス
「遭遇」―不思議の国の少年、そして彼がそこで出遭ったもの―『不思議の国のアリス』の変奏としての「遭遇」
「アラビー」―「アラビー」の死角‐blindnessをめぐって
「エヴリン」―難を逃れたエヴリン‐フランク女衒説再考
「レースの後」―レースの「跡」‐「レースの後」の余計/予型論
「二人の伊達男」―「二人の伊達男」における語り手と登場人物の共犯関係
「下宿屋」―ポリー・ムーニー、あるいは謀略のタイピスト‐「下宿屋」における大飢饉後の晩婚化社会と女性の就労
「小さな雲」―晴れのち曇り、所によって雨‐「小さな雲」の気象学
「複写」―ゼロックス・メカニクス‐「複写」の機械式韻文
「土」―リアリズム批判で読む「土」‐「物語」は超えられたか〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ローリングエルボー
2
スタンダード的な論集。それぞれの解釈を乗り越えなくてはならないのはきつい仕事である。参考文献一覧は役に立つ。2018/02/22
渡邊利道
1
ダブリン市民の全収録短編について論じる文集。わりとアイディアや視点の提示と言った感じでやや内容は軽め。もっともジョイス/ダブリン市民の批評史を簡潔に紹介して、さまざまな批評技法の紹介にもなっており、気軽にいろいろ読みながら学べる楽しい本でもあった。ジョイスとデリダは相性がいいなあとか、テクスト批評は精神分析と相性がいいとか、いろいろ示唆的。2016/12/03