内容説明
同時代の中心にいた津村喬の圧倒的に早く、今もってアクチュアルに響く評論を、六八年の現代史批評を展開する、〓(すが)秀実が編纂。
目次
1 隣の“異邦人”(『われらの内なる差別』より;『魂にふれる革命』より;『革命への権利』より;『戦略とスタイル』より ほか)
2 都市的理性批判のために(毛沢東の思想方法―日常性と革命;東風は西風を圧倒する―ゴダールの変貌と「映画批評」の転換のために;ブレヒト・非Aの詩人;都市批評・序説 現築術 ほか)
解説 「一九六八年」と3・11以降をつなぐ思考
著者等紹介
津村喬[ツムラタカシ]
1970年早稲田大学第一文学部中退。在学中より評論活動。NPO法人気功文化研究所代表。NPO法人日本健身気功協会理事長
〓秀実[スガヒデミ]
文芸評論家。近畿大学国際人文科学研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミスター
1
津村喬が決定的に偉いのは戦争を「交通」の問題だとしている所だ。津村喬というよりも猪俣津南雄が偉いのかもしれないが。しかしこれは右翼の保田与重郎ぐらいしか持っていない点で、ほかの左翼は戦争=交通なんて言われてもアホづら下がるだけだろう。保田の場合「道」は「いにしへ」の道になる。自然と切断されていない。しかし津村喬は自然の道をジグザグに進む。日本の橋というモーメントを解体して、剥き出しの道へと変形するのが津村喬である。かかるフォルマリズムの知見がないポスコロ・カルスタ的な知性は容易に天皇主義へと帰結するだろう2020/03/02
ミスター
0
問題意識は面白いが「問題意識」で止まっているのではないか。あと読んでいくと妙なことを言い出すのはよくない。言いたいことはわかるが「戦後的ラングの体系」ってなんだよ。とか。吉本隆明批判から導かれる「個」に対する批判、引いては「内なる差別」の問題はとても重要である。しかしそれが有効に機能するのは、それこそ戦後的ラングの体系もっと言えば近代的自我なる蒙昧な幻影があると思っている立場の中だけだ。根本的なところで民主主義は独裁を生むというところを回避して、支配権力が悪いという話になってしまう。それが津村の弱点である2019/09/16