内容説明
古代インドの国王即位儀礼から密教経典に登場する潅頂、権力と一体化し皇帝や貴族に与えられた中国の潅頂、空海が恵果から授かった潅頂、天皇の即位儀礼につながった即位潅頂など、その多様な展開と変容を辿りつつ、常にアジアの宗教儀礼の中核をなした「潅頂」に、はじめて正面から取り組む。学際的研究の成果。
目次
総論 潅頂とは何か
第1部 インド(古代インドのヴェーダ文献にみられる潅頂;大乗経典における授記と潅頂;インド密教における潅頂の展開;ヒンドゥー教タントリズムにおける潅頂―聖典シヴァ派の例から;ヴィシュヌ教の潅頂儀礼)
第2部 チベット・ネパール(チベットの密教の潅頂の構造―ゲルク派の場合;潅頂―ネパール仏教徒はどのようにして仏になるか)
第3部 中国・東南アジア(唐代の潅頂―とくに密教宣布の手段としての潅頂儀礼について;禅観経典にみられる潅頂のイメージについて;アンコール王朝における潅頂儀礼)
第4部 日本(空海の伝えた潅頂;日本中世における潅頂・修法空間の展開;中世日本の即位潅頂と文化相伝の系譜;立山山麓芦峅寺の布橋大潅頂―日本の民間信仰にみる「潅頂」儀礼;潅頂と真宗八祖画像)
著者等紹介
森雅秀[モリマサヒデ]
1962年生まれ。名古屋大学大学院文学研究科中退。ロンドン大学大学院修了。Ph.D.高野山大学文学部助教授等を経て、金沢大学人間科学系教授。専門は仏教文化史、比較文化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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