夢想の深遠 夢野久作論

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  • サイズ B6判/ページ数 236,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784806047599
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1095

内容説明

大正・昭和初期の探偵小説誌上で活躍し、現在も幻想的作風で知られる作家・夢野久作。その夢想の奥に潜む文学思想を探り、今なお新鮮な驚きをもって読みうる作品として、久作文学の知られざる一面を明らかにする。

目次

第1章 童話―教訓童話から「大人のお伽話」まで
第2章 『白髪小僧』―連なり合う空想
第3章 「猟奇歌」―虚構を詠う「猟奇」
第4章 『瓶詰地獄』―想像を孕む空隙
第5章 「木魂」―魂・線路・語り
第6章 『ドグラ・マグラ』1―「時間」
第7章 『ドグラ・マグラ』2―「心理遺伝」

著者等紹介

伊藤里和[イトウリワ]
北海道岩見沢市生まれ。成城大学文芸学部国文学科卒業。日本女子大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期単位取得満期退学。博士(文学)。現在、出版社勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ハチアカデミー

12
夢野久作が童話や「猟奇歌」という短歌形式の作品を残していたことや父親のことなど、久作その人については無知であったが故に、初めて知ることが多かった。『ドクラ・マグラ』という奇書が、荒唐無稽な想像力のみで描かれた訳ではなく、久作なりの理論があったということを形にせんとした一冊である。そして、『ドクラ・マグラ』は、主人公が何者でもない存在になること、自己を乗り越えた流動性を持つ状態になることを描いたと結論づける。各論の短さ故に物足りなさを感じるが、コンパクトに久作の作品世界を概説した一冊。「木魂」が読みたい。2014/08/25

 

1
夢野久作がベルクソンを読んでいた可能性などは面白いし、あまり顧みられることがなかった初期の寓話を最初に持ってくるあたり、そのほかの夢野久作論と差異化が図られている。が、如何せん食い足りなさを感じてしまう。しかし、『白髪小僧』が前『ドグラマグラ』であるといった指摘は、そのほかの夢野久作論と一致しているのでやはり避けては通れない作品なのか。2016/10/11

麦茶

0
著者は夢野久作がベルクソンに触れ、時間は持続を本質としたものだと考えていたと主張。『ドグラ・マグラ』円環説を否定した。また、心理遺伝については度々ユングの影響とされていたが、実際は進化論と唯識思想由来だと示す。そうして主人公の青年の心身は不確定な未来へ向け進化すると言う。2019/11/26

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