内容説明
“世界文学”を支える翻訳とはいかにして行われるのか―古典、詩歌、小説、思想、映画、そして創作にいたるまで、ある言語が別の言語と通いあう道なき道を模索し、苦闘の末に言葉を見出した翻訳家たちの冒険の記録!
目次
1 翻訳史から見える展望(『フランス語翻訳史』を書くということ―企画、方法、展望をめぐって)
2 作家と翻訳(文法のすれちがいと語りの声;無名の手に身を委ねること)
3 初訳、再訳、新訳(古典、娯楽小説)(新訳の必要性―ラブレーの場合;西鶴の文体を翻訳する;欄外文学を翻訳する―正岡子規の『病牀六尺』;二流文学、二流翻訳、二流読者?―娯楽小説の場合;『オペラ座の怪人』の面白さ―エンタテインメント小説の翻訳;プルースト邦訳の可能性;インタールード 出産/Naissance d’ours blancs/白熊の)
4 翻訳という経験と試練(思想、映画、詩)(開く、閉じる―文学と哲学を翻訳する際の差異について;映像のような言葉―可視化された字幕のために;翻訳における他性の痕跡としての発話行為;大岡信と谷川俊太郎の詩にみる言葉遊び;韻文口語訳の音楽―ランボー「陶酔の船」Le Bateau ivreを例に)
5 世界文学と翻訳、残るものとその可能性(「世界文学」と「日本近代文学」;翻訳という名の希望)
著者等紹介
澤田直[サワダナオ]
立教大学教授、公益財団法人日仏会館理事。1959年生まれ。専門はフランス語圏文学・思想。パリ第一大学博士課程修了(哲学博士)。主な訳書に、フィリップ・フォレスト『さりながら』(白水社、日仏翻訳文学賞)など多数
坂井セシル[サカイセシル]
パリ・ディドロ大学教授、日仏会館・フランス国立日本研究所所長。1957年生まれ。専門は日本近現代文学。CRCAO(東アジア文化研究所)研究員。パリ第七大学博士課程修了(東洋学博士)。谷崎潤一郎の選集(共訳)及び円地文子『女坂』(共訳)の仏訳により日仏翻訳文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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