内容説明
最後の朝鮮通信使となった1811年の朝鮮通信使は、それまでの江戸城ではなく、対馬で日朝間の国家儀礼を行うように変更された(「易地聘礼」)。本書は、釜山の倭館に出仕していた対馬藩朝鮮語通詞・小田幾五郎宛ての新発見ハングル書簡99点を読み解き、19世紀の日朝間で最大の外交的懸案であった易地聘礼交渉の舞台裏を明らかにする。日韓の専門家の多年の努力で完遂された書簡の翻刻・日本語訳、および言語学・歴史学・文化交渉学といった関連諸分野の論考から、近世日朝交流の新しい側面が200年の時を経てよみがえる。もはや本書を読まずして、朝鮮通信使は語れない。
目次
朝鮮訳官発給書簡一覧
史料編
研究編(第一二回朝鮮通信使招聘に、なぜ長期間を要したか―対馬府中に文化度朝鮮通信使パレードがやってきた;対馬宗家文庫所蔵ハングル書簡の性格と特徴;対馬易地通信と訳官、その「儀礼的」関係と「密かな」交流の間隙;近世後期対馬藩の朝鮮通詞)
印譜