出版社内容情報
宮脇俊文[ミヤワキトシフミ]
内容説明
デビューから最新作『騎士団長殺し』に至るまで、村上文学は何を描き出してきたのか。影/地震/暴力などの鍵概念に肉薄し、作家の全体像に迫る。物語に隠された“偶然”の連関を指し示す、これまで目にしたことのなかった村上春樹論。
目次
序章 「偶然」の扉を開ける
第1章 分身としての「影」に寄り添う
第2章 「壁」への抵抗
第3章 「地震」が呼び覚ますもの
第4章 圧倒的な「暴力」に立ち向かう
第5章 「ジャズ」と個の確立
終章 鎮魂の物語として
著者等紹介
宮脇俊文[ミヤワキトシフミ]
1953(昭和28)年、神戸市生まれ。成蹊大学経済学部教授。専門はアメリカ文学、比較文学、ジャズ研究。日本F.スコット・フィッツジェラルド協会会長、ミネソタ大学客員教授などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aloha0307
19
軽妙なリズムで す~っと進んでいき重くない(いい意味で)春樹さんの文章。butそれは表面上であり、後ろに控える塑像は人間の実存に関わるような深刻なテーマである。本書はその部分を読者に橋渡しをしている。影:内なるもうひとりの自分自身を受け入れて生きていかねばならない。ねじまき鳥や騎士団長殺し での穴の中でのように ただひたすら自身のこころの闇にじーっと向き合う。己ならば正気でいられるか... 全くもって自信がない。2017/10/14
ふーか4
8
この本の出版も知らずに、偶然近所の図書館の書棚で出会いました。品揃えの決して多くない小さな図書館で^^。『偶然の旅人』から始まり、村上作品の愛読者であり続ける作者の分析に感嘆です!あとがきの偶然も必然のようです。2017/07/04