内容説明
「人・モノ・情報の流通」の問題意識にたち、特定の時代と状況の痕跡を示すモノの文脈を読みとる試み。近代化とは技術の画一化を促す一方で、その受容のありかたの多様さゆえに地域的差異を生み出す過程でもあった。人々の個別の状況(=生活世界)の論理こそが、技術やモノ(民具)を逆に規定していく歴史的推移を記録した10年に及ぶフィールドワークの成果。物質文化と技術の民俗誌(農村・山村・海村)の実験から、流通民具論の新たなアプローチを提案。
目次
はじめに 技術と道具の物質文化論にむけて
第1部 農業技術改善の民俗誌(対象地域概要と調査経緯;近世農書にみる技術改善と二毛作経営;近代農政資料にみる技術改善の動向;近代の牛耕農具にみる技術改善ブームと標準の形成;聞書きの中の農業技術改善)
第2部 漁業技術改善の民俗誌(地曳網漁のシステム論的理解;地曳網漁のプロセス論的理解)
第3部 山林資源利用の民俗誌(山村の民俗研究の課題;対象地域概要と調査経緯;せめぎあう二次林と人工林;二次林における山林資源んの獲得と流通;傾斜地の水田経営と山村観光)
著者等紹介
加藤幸治[カトウコウジ]
東北学院大学文学部歴史学科准教授・同大学博物館学芸員。専門は民俗学、とくに物質文化論。静岡県出身。総合研究大学院大学文化科学研究科比較文化学専攻修了。博士(文学)。1999年より和歌山県立紀伊風土記の丘にて学芸員として一〇年間勤務した後、2009年より東北学院大学講師、2011年より現職。第一六回総合研究大学院大学研究賞(同大学、2011年)・第一七回日本民具学会研究奨励賞(日本民具学会、2003年)・第二一回小谷賞(近畿民具学会、2003年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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