内容説明
戦後、占領軍によって日本各地で不動産の接収が行われた。民間住宅からホテルやデパートまでが取り上げられ、欧米流の生活に適するよう改造、新築した「占領軍家族住宅地区」があちこちに出現した。これまで顧みられることの少なかったその知られざる歴史に、現地調査・聞き取り・史料調査等のアプローチで迫り、実態解明を試みる。同時に、日本の住宅に持ち込まれた西洋の生活様式は接収解除後の日本人の住生活に何をもたらしたのか、占領軍の要請によって行われた建築事業は日本の建設業をはじめ、家具・什器・インフラ等の技術革新にどのような影響を及ぼしたのか、「接収」の建築史的・都市史的意味を考える。
目次
地方都市の占領空間と接収をめぐる研究背景
占領下日本におけるGHQの空間配置
占領下日本における占領軍家族住宅の様相
ホテルの接収形態とその動向
札幌・「贅沢すぎる」キャンプ・クロフォード
山形・地方の小都市にみる接収
日光・観光都市の接収
名古屋・占領にみるもうひとつの戦災復興
琵琶湖畔の接収と「国際文化観光都市」の計画
京都の占領と接収
想定外の占領拠点・大坂の接収事情
神戸・阪神間の接収と土地・建物の奪いあい
岡山・日本側の期待通りに進まない占領軍の接収
英連邦軍総司令部の住まい―キャンプ江田島のディペンデント・ハウジング
宮島ホテルの接収―所有を巡る権利とその対価
著者等紹介
大場修[オオバオサム]
1955年生。九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程生活環境学専攻修了。工学博士。立命館大学衣笠総合研究機構教授。京都府立大学名誉教授。日本建築学会賞(論文)(2006年)。日本建築学会著作賞(2021年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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