出版社内容情報
東寺の廿一口供僧方は鎌倉時代後期までに公家(朝廷)の支援によって創られた国家祈祷を行う寺僧の組織。構成員による自治的な共同経営で、供僧全員が参加する会議-評定によって指針が決められ、運営されていた。
廿一口供僧方は東寺の寺僧組織の中核であって、その評定では廿一口供僧方の経営のみならず東寺全体に関わる重要事項も審議された。それゆえ、この評定の議事録である引付には、東寺と公家・武家等との交渉が記され、さらに、東寺の宗教活動や、畿内・西国を中心とした荘園の経営の実態、都市京都における商業活動や庶民生活、芸能民や被差別民の様子までもうかがい知ることができる。室町・戦国期の政治・経済・社会・文化を伝える超一級の資料。
また、当「引付」は東寺百合文書・教王護国寺文書などの東寺旧蔵文書3万点の中核となる文献であり、当「引付」の編年史料集によって、膨大な東寺旧蔵文書群の概要を一通り通覧することが可能となる。
◇人名・役職立場・地名の比定などにそのつど傍注を付し、
人名・地名・寺社名など重要語句については頭注を付す
◇本書所蔵の記事に関連する文書記録が東寺百合文書・
教王護国寺文書・東寺文書・阿刀家文書その他にある場合は、
補注で文書番号・日付・文書名などを掲げた
内容説明
本書に翻刻する「東寺廿一口供僧方評定引付」は、京都府立総合資料館所蔵『国宝東寺百合文書』に含まれる日本中世の重要資料である。室町時代の明徳五年(一三九四)から天文二十三年(一五五四)までの百六十年間のうち、九十三年分の九十三冊分を伝え、その学術的価値は古く明治時代から注目されてきた。本第一巻は、明徳五年(応永元年)・応永八年・応永九年・応永十一年・応永十二年・応永十三年・応永十四年・応永十五年・応永十七年・応永十九年・応永二十年・応永二十一年・応永二十二年・応永二十三年・の十四年・十五冊分を収載した。
著者等紹介
伊藤俊一[イトウトシカズ]
名城大学教職課程部助教授
近藤俊彦[コンドウトシヒコ]
高岡法科大学図書館主事
富田正弘[トミタマサヒロ]
富山大学人文学部教授
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