内容説明
すでに2002年に、福島沖の巨大津波の可能性は公表され、対策が不可欠であるとされた。このことは、最高幹部をふくむ東電関係者は認識しており、07年、いったんは原発の津波対策をとることが決まっていた。それが一転08年7月に対策をとらないことが決まったために、3・11福島原発の大惨事が起きた。東電元幹部3名を強制起訴に追い込み、全国の原発再稼働差し止め訴訟を担当する著者が、東電が隠蔽してきた数々の不都合な真実をわかりやすく解説。裁かれるべき東電、原子力安全・保安院、原子力ムラに取り込まれた検察庁と政府事故調の暗躍を明らかにし、市民の正義を実現する意義を説く。
目次
第1部 東電が隠ぺいし、怠っていたこと(東電元役員3人を強制起訴に;あらかじめ警告されていた、福島の津波;津波対策の先送りの背景に隠されていたこと;いったんは津波対策をとることが決まっていた;保安院にも15メートルの津波は報告せず;貞観の津波をめぐる保安院と東電の暗闘;対策が不可避であったことは東電関係者の共通認識;東電幹部の刑事責任は明らか)
第2部 原発の再稼働をめぐって分かれる司法の判断(3・11後の原発訴訟;福井地裁判決はドイツにおける司法判断と共通している;いま司法に求められていること)
著者等紹介
海渡雄一[カイドユウイチ]
1955年生まれ。1981年弁護士登録、35年にわたって、もんじゅ訴訟、六ヵ所村核燃料サイクル施設訴訟、浜岡原発訴訟、大間原発訴訟など原子力に関する訴訟多数を担当。1990年から日弁連公害対策環境保全委員会委員、2010年4月から2012年5月まで日弁連事務総長。3・11後福島原発告訴団、東京電力株主代表訴訟、東海第2原発、大飯原発、高浜原発、川内原発訴訟、原発労働者訴訟、原発情報公開訴訟などのあらたな原発訴訟の弁護を担当し、脱原発弁護団全国連絡会共同代表、脱原発法制定全国ネットワーク事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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