内容説明
フランスの精神分析家アンドレ・グリーンは、精神分析の理論と実践、文化と文学の精神分析的批判に関する数多くの論文や書籍を執筆し、「デッドマザー・コンプレックス」や「ネガティブの作業」の概念で知られている。グリーンは、精神科医としてエーに師事し、1960年代初頭のラカンとの運命的出会いと理論的決別を経て、ソシュール、パースの記号学・言語学の仕事を豊かな発想で精神分析理論に昇華させた崇高な分析家であり、1975年から1977年まで、国際精神分析協会の副会長も務めている。フロイト、ラカン、クライン、ビオン、ウィニコットとの理論的な対話を通して現代精神分析に大きな影響を与えたインディペンデントな思索家でもある。アンドレ・グリーンの五つの講義で構成された本書は、ウィニコットの研究をしているスクウィグル財団においてなされた講義をもとにしたものであり、ウィニコットの理論を現代精神分析における最も重要な概念へとさらに洗練させている。そして、ウィニコットを読むうえでの最良の解説書であるとともに、グリーン自身の難解な理論に関する入門書とも言えるものである。
目次
第1講 精神分析臨床における経験と考えること
第2講 諸対象と主体
第3講 第三性について
第4講 ウィニコットの遺稿:『人間の本性』について
第5講 『遊ぶことと現実』におけるネガティブの直観
著者等紹介
鈴木智美[スズキトモミ]
1959年東京都生まれ。福岡大学医学部卒、同大学院精神分析学専攻修了。精神分析家。パリモンスリ共済研究所、パリ11大学に留学。福岡大学病院精神科講師を経て、現在は可也病院に勤務。個人オフィスにて分析を実践している
石橋大樹[イシバシヒロキ]
1976年大阪生まれ、福岡、熊本育ち。久留米大学文学部卒、同大学院前期博士課程修了、九州大学大学院後期博士課程単位取得退学。臨床心理士、公認心理師、博士(心理学)。現在は可也病院に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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