内容説明
原子力発電所の立地によって知域は「依存」ではなく「自治の実践」を進めていった。東日本大震災後の新たなエネルギー政策にも「自治の実践」の視点が重要である。本書では、これまで見過ごされてきた立地地域の本当の姿を明らかにする。
目次
序章 原子力発電と地域の関係をあらためて問う
第1章 原子力平和利用と地域政策の胎動
第2章 高度経済成長期における地域開発と原子力発電所の誘致
第3章 原子力発電所の立地と増設による地域経済と地方財政の変化
第4章 原子力安全規制における「自治の実践」
第5章 原子力産業政策における「自治の実践」(1)―アトムポリス構想
第6章 原子力発電所の立地と製造業
第7章 原子力産業政策における「自治の実践」(2)―エネルギー研究開発拠点化計画
第8章 地方自治の岐路と原子力政策における「自治の実践」の展望
第9章 原子力政策における「自治の実践」がエネルギー政策の課題に与える示唆
著者等紹介
井上武史[イノウエタケシ]
1971年生まれ。1993年横浜国立大学経営学部卒業。敦賀市役所(税務・財政・企画部門勤務)。2001年福井県立大学大学院経済・経営学研究科後期博士課程修了。現在、福井県立大学地域経済研究所講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yuno
2
原発立地自治体の職員から研究者になった著者が、地域が原子力政策という「国策への協力」を超えて、いかに「自治の実践」の取組を行ってきたか、福井県を中心に論じている。安全規制は保安院や規制庁が行い、地域振興策は電源三法交付金があるので、自治体が国との関係で十分に自治の実践を行ってきたと断言もできないが、安全協定で地域としての取組は行っているし、アトムポリス構想で地域ならではの取組を行っていて、人口も非立地地域と比較して下げ止まっているし、他産業への悪影響もみられない、と総じてポジティブな評価。2018/02/12