出版社内容情報
マルコ・ポーロの日本についての言及以降、ヨーロッパ人の東アジアへの旅行の機会が増し、その存在を知覚によって認識するようになる。その後の400年間、人種という概念がいかに形成され、日本人の捉え方がどう変化していったか、その過程を膨大な資史料から解明する。
内容説明
黄色人種は、ヨーロッパ人の創作である。白と黒を上下にして、その中間を占める地位に置いたのである。(中略)本書は、“黄色人種”という概念の登場に至ったイメージと受け止め方の変容を扱う。東アジア全般そして特に日本に関する論議を通して、前近代及び近世のヨーロッパで人種主義がいかに展開してきたかを検討する。本論は、ヨーロッパが日本人そして二義的には中国人との出会いをきっかけとして起きた論議のケーススタディであり、現代人種思想の起源だけでなく、その発想の動機について、新しい光を当てる。(本書より)
目次
第1局面 推測段階―出会い以前の日本に関する知識(一三〇〇年‐一五四三年)(ジパングの浮上とその先駆的民族誌;大航海時代の幕開けと“ジパング”)
第2局面 観察―初期の出会いと論議の始まり(一五四三年‐一六四〇年)(日本人に関する初期の観察;当代のヒエラルキーにおける日本人の位置;新人類秩序の鏡像;観察局面期の“人種”とその認識上の限界)
第3局面 再検討―議論の到達点(一六四〇年‐一七三五年)(日本人の体型と起源に関するオランダの再評価;力、地位そして世界秩序における日本人の位置;新しい分類学を求めて―植物、医術そして日本人;“人種”と「再検討段階」における認識上の限界)
むすび―近世ヨーロッパにおける人種論議と日本人のケース
著者等紹介
コーネル,ロテム[コーネル,ロテム] [Kowner,Rotem]
1960年7月、イスラエルのミフモレット生まれ。ハイファ大学アジア学科正教授。専門は日本近代史。エルサレムのヘブライ大学で東アジア学と心理学を専攻。ベルリン自由大学で1年、筑波大学で6年の研究の後、博士号を取得。さらにスタンフォード大学とヘブライ大学で研究を続ける。1998年、ハイファ大学で教職に就き、2004年に教授。日露戦争が地域と世界に及ぼした緊張と影響の研究をおこなう。2010年以降は、近世アジア、特に日本における人種と人種主義の研究調査が中心。早稲田大学、大阪大学、ジュネーブ大学、ミュンヘン大学の客員教授も務める
滝川義人[タキガワヨシト]
ユダヤ、中東研究者。長崎県諌早市出身、早稲田大学第一文学部卒業、元駐日イスラエル大使館チーフインフォメーションオフィサー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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