内容説明
ますます多様化するアメリカの現状と将来を見据える。人種・民族関係の移り変わりを中心に歴史的に描き出す。オバマ政権成立後の動き、アフリカ系、アジア系、ヒスパニック系アメリカ人の台頭など、急激な変化を遂げるアメリカの“今”に迫る。
目次
「エスニック・アメリカ」
第1部 「アメリカ人、この新しい人間」(同化の諸概念;新大陸で出会った三つの人種集団;アングロ・アメリカ社会の形成;国民的統合に向けて―民族のパノラマ)
第2部 近代アメリカの形成とエスニック集団―「彼らを私のもとに送りなさい」(「新移民」の流入;自由の女神の涙;多民族国家アメリカ―続く移民の流れ)
第3部 アメリカン・ドリーム―理想と現実(平等の達成;多様性と調和的共存の探求―多文化社会の課題)
真の平等を求めて―多様性の維持と調和的共存の理想
著者等紹介
明石紀雄[アカシノリオ]
1962年ハヴァフォード大学卒業。1964年ウィスコンシン大学大学院歴史学研究科修士課程修了。現在、筑波大学名誉教授、博士(文学)
飯野正子[イイノマサコ]
1966年津田塾大学学芸学部卒業。1968年シラキュース大学大学院歴史学科修士課程修了。現在、津田塾大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メコノプシスホリデュラ
1
アメリカ合衆国の移民史が国勢調査などの資料に基づき年代を追って詳述されている。個人的には19世紀末~1960年代のドイツ・東欧・北欧からの移民について調べたかったが、アイルランド系・イタリア系・東欧系ユダヤ移民などについても興味深く、また、インディアン史や黒人史などにも知見を得られた。アメリカにおける「ネイティブ」の意味を考えさせられた。USA移民史は他にもいろいろ読んでいるが、この本は年代ごと、エスニックごとの問題点が把握しやすく、法律も丁寧に解説されている。基本書として繰り返し手に取ると思う。2013/11/26
mmmitani
1
アメリカの移民史や移民への政策、同化の諸理論を知ると、19-20世紀についての1つの時間的な目安が、頭の中に出来るというのがとても嬉しい。その意味ではこの本は、重宝出来るかも知れません。2013/02/07
の
1
人種・民族関係で多様化していくアメリカ社会の移り変わりを探る。今世紀の半ばにはアメリカ全土でラテン系移民がマジョリティとなり、白人がマイノリティ化すると予測されているが、そうした「移民がマジョリティ化する」のが予想しづらいのは、過去にアメリカ政府が基本的に施行した人種・民族政策がキリスト宗や日常的慣習に則った保守的なもので、白人主義にも近い政策だからだ。現に、メキシコからの移民はかなり厳しく取り締まれており、多くの混乱を社会に生み出している。戦争で中東系差別も厳しくなり、共生はやはり難しいのではないか。2011/09/16