現代日本の家族社会学を問う―多様化のなかの対話

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  • サイズ A5判/ページ数 304p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784623081196
  • NDC分類 361.63
  • Cコード C3036

出版社内容情報

不透明性と不確実性に満ちた21世紀において、家族社会学研究が向かうべき方向性を最新の動向をふまえて提示する。日本の家族社会学研究は、近年、「研究関心の多様性」と、「研究領域の境界の不明瞭化」により特徴づけられるように、1990年以降の四半世紀のあいだに大きな転回を遂げてきた。そのような状況のなか、理論的にも方法論的にも再考が迫られてきたが、解答は与えられたのだろうか。
本書では、不透明性と不確実性に満ちた21世紀において、家族社会学研究が向かうべき方向性を最新の動向をふまえて提示する。


序(藤崎宏子・池岡義孝)


 第?部 理論・テーマの動向

第1章 戦後家族社会学の展開とその現代的位相(池岡義孝)
 1 学問的営為としての家族社会学
 2 組織面
 3 研究面
 4 家族社会学の現代的位相

第2章 〈教育と家族〉研究の展開(小玉亮子)
     ──近代的子ども観・近代家族・近代教育の再考を軸として
 1 教育学と家族研究
 2 近代的子ども観と近代家族論の台頭──「不気味」な子ども:1980年代
 3 家族問題に連動する教育政策の転換──「家庭の教育力」の低下:1980?90年代
 4 教育における近代的母性をめぐる相克──1990年代
 5 近代的子ども観の崩壊──子どもが「こわい」:1990?2000年代
 6 格差の存在──2000年以降
 7 近代批判のゆくえ

第3章 ケアの社会学と家族研究(井口高志)
 1 ケアの社会学とは
 2 家族におけるケアの問題化
 3 ケアの「社会化」をめぐる研究の展開
 4 ケアの社会学の課題──普遍化と精緻化と

第4章 社会階層論と家族社会学(岩間暁子)
 1 社会階層論と家族社会学の架橋に向けて
 2 階層研究における「家族」の位置づけ
 3 日本の階層研究の軌跡──SSM調査を中心に
 4 日本の家族社会学における階級・階層へのまなざし
 5 家族の「多様化」「個人化」をめぐって
 6 1980年代半ば以降の研究動向と今後の課題

第5章 フェミニズム論と家族研究(千田有紀)
 1 問うべきことは何か
 2 近代家族論はどうして現れたのか
 3 近代家族論の意味
 4 近代家族論とフェミニズム
 5 家族論によるフェミニズム論への貢献の可能性
 6 近代家族を問う意味

第6章 人口学と家族研究(廣嶋清志)
     ──家族制と親子同居をめぐって
 1 人口学的家族研究と本章の課題
 2 核家族化の分析と日本の家族人口学
 3 欧米の家族史研究と家族人口学の開始
 4 戸田貞三による三世代家族の分析?
 5 親子同居率の分析モデル
 6 盛山和夫の核家族化モデル
 7 直系家族制の弱化と存続
 8 家族制・親子同居研究の今後


 第?部 方法論の動向

第7章 家族社会学と計量的研究(保田時男)
 1 方法論的なトレンドを観察するねらい
 2 計量研究を取り巻く25年間の環境変化
 3 『家族社会学研究』1989?2016年
 4 家族社会学研究の発展と今後の課題
 5 量的研究と質的研究の有機的な連携へ

第8章 家族研究と二次分析(稲葉昭英)
 1 二次分析とは
 2 二次分析は本当に盛んになったのか
 3 二次分析は家族研究を変えたのか
 4 二次分析による家族研究はつまらないのか
 5 家族研究と二次分析

第9章 家族社会学と質的研究(木戸 功)
 1 方法論的多元主義と質的研究の再興
 2 対象と方法
 3 『家族社会学研究』における質的研究
 4 家族社会学と質的研究
 5 その後の家族社会学と質的研究

第10章 家族社会学における家族史・社会史研究(米村千代)
 1 課題と目的
 2 家族史研究の論点──歴史的方法と視点
 3 家族研究から「家族」研究へ
 4 家族社会学」的家族史研究の課題──社会学に求められるもの?


 第?部 新たな視座の確立に向けて

第11章 家族研究の継承と課題[1](渡辺秀樹)
     ──家族の多様性への多様な接近
 1  「家族の多様性」ということについて
 2 家族研究と家族の多様化
 3 戦後の家族の変動
 4 多様性の時代の方法
 5 多様化という変動を読み解く

第12章 家族研究の継承と課題[2](牟田和恵)
     ──家族社会学の脱「家族」化へ向けて
 1 家族社会学──学の制度化とその前提
 2 「家族」幻想の崩壊
 3 非近代家族の積極的意味
 4 家族社会学のこれから

第13章 家族研究の継承と課題[3](藤崎宏子)
      ──「対話」によるアイデンティティ模索
 1 私たちはどこに立っているのか
 2 1970年代まで──「核家族パラダイム」の確立
 3 1980年代──「核家族パラダイム」と対抗勢力
 4 1990年代──家族社会学研究のアイデンティティのゆらぎ
 5 2000年代以降──理論と方法論の多様化
 6 日本の家族研究のこれから


索  引

藤崎 宏子[フジサキ ヒロコ]
編集

池岡 義孝[イケオカ ヨシタカ]
編集

内容説明

家族社会学研究のいまを多様なテーマと方法論の対話から提示する。

目次

第1部 理論・テーマの動向(戦後家族社会学の展開とその現代的位相;“教育と家族”研究の展開―近代的子ども観・近代家族・近代教育の再考を軸として;ケアの社会学と家族研究 ほか)
第2部 方法論の動向(家族社会学と計量的研究;家族研究と二次分析;家族社会学と質的研究 ほか)
第3部 新たな視座の確立に向けて(家族研究の継承と課題(1)家族の多様性への多様な接近
家族研究の継承と課題(2)家族社会学の脱「家族」化へ向けて
家族研究の継承と課題(3)「対話」によるアイデンティティ模索)

著者等紹介

藤崎宏子[フジサキヒロコ]
お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授、博士(社会学)

池岡義孝[イケオカヨシタカ]
早稲田大学人間科学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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昌也

0
<ひきこもり>現象理解のために手に取った。家族の「個人化」「多様化」が90年代以降の家族社会学の重要なテーマ(p96)とのことだが、<ひきこもり>現象との明確な言及はみられなかった。2024/02/16

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