内容説明
病者と共に生きるとはどういうことか。歌人として高名な斎藤茂吉は、精神病医でもあった。精神病者への差別・排除が常態化していた時代にあって、病者の自殺、逃亡、暴力に日々直面した。精神病医として懊悩しつつも全力を尽くし、病者へのあたたかな眼差しを送り続けた茂吉の全体像を、短歌、随筆、日記、書簡などを手掛かりに描き出す。
目次
病者への眼差し
東京帝国大学医科大学時代
巣鴨病院時代
長崎医学専門学校教授時代
ウィーン大学神経学研究所への留学―欧州留学時代(1)
ドイツ精神病学研究所での生活―欧州留学時代(2)
青山脳病院の再建
青山脳病院院長就任と紀一の死―昭和二年から昭和三年まで
青山脳病院院長としての仕事と病院の現状―昭和三年から昭和八年まで
青山脳病院院長の診察風景―昭和九年から昭和十九年まで
戦時下の青山脳病院院長時代―昭和二十年の青山脳病院
病気観
女性観―永井ふさ子との恋愛事件
作品に見る病者への眼差し
老いの諸相
病者に寄り添う
著者等紹介
小泉博明[コイズミヒロアキ]
1954年東京都生まれ。1977年早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒業。2012年日本大学大学院総合社会情報研究科博士課程修了。早稲田大学教育学部非常勤講師、東京大学教養学部非常勤講師などを経て、文京学院大学外国語学部教授。博士(総合社会文化)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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