内容説明
「国粋保存主義」を提唱した政教社の言論人・三宅雪嶺の思想の核心は、「国粋保存」よりも「真善美」にあった。「個人」は天賦の才を伸ばして「真善美」に貢献し、各国は各々の「真善美」を実現して、人類社会は進歩していく。だが個人と国家、各国間、国家と人類の間での軋轢には予定調和的で、そのぶん時事論で矛盾した叙述も残している。本書では、雪嶺の思想と時事的発言の関連に踏み込み、その政治思想を解明する。
目次
第1部 多様性の思想(多様性がつむぎだす個性―三宅雪嶺の思想;優勝劣敗か、相互扶助か―有機体的共同性と「個」;有機体論と秩序意識の基底―雪嶺と如是閑)
第2部 公益/私益(雪嶺と露伴―「公益」と「私益」の一致と分裂;所与としての「職分」)
第3部 ナショナリズムと「真善美」(「国粋」と「真善美」―「英雄」としての西郷隆盛;ナショナリズムと「真善美」の狭間で―中国認識を中心に;共同性の再生に関する一考察)
補論 記録でもなく、征服でもなく―近代日本における「登山」観
著者等紹介
長妻三佐雄[ナガツマミサオ]
1964年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。同志社大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程満期退学。大阪商業大学専任講師などを経て、大阪商業大学総合経営学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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