内容説明
グルー(一八八〇~一九六五)、アメリカの外交官。東海岸の名家に生まれる。親日派の駐日大使として日米開戦を防ぐべく尽力し、開戦後は早期終戦、天皇制維持のために奔走することになる。本書は、あまり知られていない来日以前の歩みも含めて、国際政治の影の立役者の活躍を鮮やかに描き出す。
目次
第1章 修行時代
第2章 国務次官からトルコ大使へ
第3章 駐日大使時代初期
第4章 日中戦争と和平への努力
第5章 日米交渉
第6章 開戦、そして抑留
第7章 天皇存置に向けて
第8章 辞任後
著者等紹介
廣部泉[ヒロベイズミ]
1965年福井県生まれ。1989年東京大学教養学部卒業。1995年ハーバード大学大学院博士課程修了。現在、明治大学政治経済学部教授。ハーバード大学Ph.D.(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ZEPPELIN
5
東京裁判において平沼・広田・重光を擁護する宣誓供述書を提出していたというのは初めて知った。勝者の顔をして日本に行きたくないからと戦後は来日しなかったというだけでも、この人こそ本当の親日家であると思う。もちろん、訪米した日本人とは親しく交流している。戦争中の話でいくと、ハルに対する日本人の印象は悪いけれど、実はグルーの日米関係改善の努力を無にした責任はホーンベックの方が大きいんじゃないだろうか。日本通がアメリカ側に少なかったことが日本にとっての不幸であったのは間違いない2015/08/20
フンフン
0
開戦前10年にわたって駐日米大使をつとめたグルーの伝記。グルーが日米首脳会談実現に尽力したにもかかわらず、本省のホーンベックが握りつぶした経過がよく描かれている。近衛首相とルーズヴェルト大統領の会談が実現していたら、日米交渉が妥結できていたかどうか、著者の見解は明確にされていないが、近衛首相はどんな譲歩でもする決心でいたのである。日米開戦を避けることができていた可能性は高い。ホーンベックとホーンベックの進言を受け入れたハル国務長官の責任は重いと言うべきであろう。2013/07/20