出版社内容情報
須賀敦子が書いたサーバの町トリエステ。詩人がジョイス、ズヴェーヴォと織り成す三角形を本の町に探し求めるマニアックな文学紀行。アドリア海に面した港湾都市トリエステ。この町の名は、須賀敦子の本を通してよく知られている。オーストリア=ハンガリー帝国支配下、過ぎし日の栄光と繁栄が消え残る20世紀初頭、ここに三人の詩人と小説家がいた。
「イタロ・ズヴェーヴォ、ジェイムズ・ジョイス、ウンベルト・サーバ……私がトリエステに到着した時点では、もちろん、彼らが亡くなってからずいぶんたっていた。リテラリー・トリエステ。そのテーマで私は本を書くつもりだった。ヴィジョンを喚起する力があったなら、私には本でできた町が見えていたことだろう。『老年』『トリエステとひとりの女』『ジアコモ・ジョイス』『ポームズ・ペニーチ』『ゼーノの意識』、そして、これらの本に関する本。私はまだ読んだことがなかったが、奇妙な名前をもった作家たちの本。ベンコ、ズラタペル、バズレン、ミヒェルシュテッテル、ジョッティ、ストゥパリヒ、マリン……。ようするに本書は、亡霊の町について亡霊が語ったゴースト・ストーリーである。それは、ほとんど本を通じて知ったにすぎない過去を思い出しながら、温かな暮らしが流れてゆく姿を見る物語。そのムードは、めまぐるしく姿を変える幻影のよう。ただし、マ・ノン・トロッポ。ほどほどに」(本文より)
歴史・言語・芸術の枠をこえ、ミステリーの雰囲気とマニアックな学識をただよわせる、文学紀行の名品。
まえがき
いくつかの重要な日付
ミラマーレ
上へ
三つのトリエステ
地図製作の愉しみ
トリエステの三人の殉教者
忠実に待つ
タブロー・モール
フェアヴューのぬかるみ
見出されたトリエステ
市民庭園の三巨匠
三つの別れ
付録
翻訳
登場人物名簿
リテラリー・トリエステ、その存在証拠
原注
参考文献
謝辞
トリエステ関連年表補遺(訳者あとがきに代えて)
ジョーゼフ・ケアリー[ジョーゼフ ケアリー]
1927年生まれ。コネティカット大学、英文学・比較文学の名誉教授。著書に『トリエステの亡霊 サーバ、ジョイス、ズヴェーヴォ』『三人の現代イタリア詩人 サーバ、ウンガレッティ、モンターレ』(ともにシカゴ大学出版)がある。
鈴木昭裕[スズキアキヒロ]
翻訳家。1959年、東京生まれ。仙台市在住。東京大学大学院修士課程中退(イタリア文学専攻)。訳書 タブッキ『レクイエム』、バリッコ『絹』、マウレンシグ『復讐のディフェンス』(以上、白水社)、ペトリニャーニ『ヴェネツィアを思う母』(文藝春秋)、メレゲッティ『MOVIE: BOX 映画がひらく夢の扉』(青幻舎)、ケアリー『トリエステの亡霊 サーバ、ジョイス、ズヴェーヴォ』(みすず書房)ほか。共著に『古楽CD100ガイド』(国書刊行会)。
内容説明
20世紀はじめ、帝国の栄光と繁栄が消え残るこの港町に、詩人サーバ、作家ジョイスとズヴェーヴォがいた。彼らの作ったかもしれない三角形を求めて「本でできた町」を「端から端まで」さまよい歩く、マニアックな文学紀行の名品。
目次
いくつかの重要な日付
ミラマーレ
上へ
三つのトリエステ
地図製作の愉しみ
トリエステの三人の殉教者
忠実に待つ
タブロー・モール
フェアヴューのぬかるみ
見出されたトリエステ
市民庭園の三巨匠
三つの別れ
著者等紹介
ケアリー,ジョーゼフ[ケアリー,ジョーゼフ] [Cary,Joseph]
1927年生まれ。コネティカット大学、英文学・比較文学の名誉教授
鈴木昭裕[スズキアキヒロ]
翻訳家。1959年、東京生まれ。東京大学大学院修士課程中退(イタリア文学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。