内容説明
日本列島は4枚のプレートの境界付近に位置しているため、地震が頻発し「地震大国」とよばれています。地震学では、地震が起きる現象を「地震動」といいます。それを解明するため、現代にいたるまで様々な説が唱えられてきました。物理学の観点から揺れが起きるメカニズムを理解するには数式が欠かせません。しかし、これまでの地震の解説書では、言葉の紹介はあっても、数式を用いて原理をふさわしく解説するものはありませんでした。本書では地震の定説とされる「弾性反発説」や「ダブルカップル説」を数式を交えながら詳しく紹介し、そのメカニズムの原理がしっかり理解できるよう解説されています。
目次
第1章 地震の基礎(地震の定義と幾何学;弾性体の変形とベクトル ほか)
第2章 地震の原理(応力のつり合い;一般化されたフックの法則 ほか)
第3章 地震はどのように起きるのか(震源の発見;地震と断層 ほか)
第4章 地震の起き方を解析する(点力源による地震動;点力源による地震動(続き) ほか)
著者等紹介
纐纈一起[コウケツカズキ]
東京大学地震研究所教授。理学博士。東京大学理学部卒業、同大学大学院理学系研究科修士課程修了。東京大学地震研究所助手、オーストラリア国立大学客員研究員、東京大学地震研究所助教授、文部省学術調査官などを経て、2004年より現職。専門は応用地震学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まえぞう
8
久しぶりのサイエンスパレットです。地震の原因である断層が、一組ではなく二組の隅力で起きるダブルカップル説を数学を駆使して証明しています。できるだけ丁寧にとの努力は評価しますが、私には難しすぎました。2020/06/13
bittersweet symphony
4
P波やS波が複雑ではあるものの同じ数式のフレームの中で記述できることや、正逆などの断層の現れ方の違いが上記の方程式の球面上への投射の視点の違いで記述できることなど、一見情緒的な、あるいは単純な観測の積み重ねで表現されているようにも見える地震学の背骨部分に数理的な根拠があることがわかるようになっている。一般書ではかなりレアな切り口のユニークな本。纐纈さんを理数畑にカテゴライズしていなかったのでそれもちと驚きでした。2020/06/17
かつ
2
ダブルカップリングを説明したいのは分かりますが、なにも弾性体の基礎方程式の導出からしなくてもいいと思います。ひずみの話は不要で、力の釣り合いだけで説明できませんかね?いずれにしても、題名と合わない内容です。2020/10/17