百年文庫

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  • サイズ B6判/ページ数 155p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121511
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

手練れの実業家・デュランドーは、「醜さ」を商うという意表を突いた商売で一儲けしようと画策する。人間心理の妙が痛快なゾラの『引き立て役』。「今頃になってわたしは急に花になりかけている」―巴里で出会った年下の青年への恋心を燃え上がらせる、中年の「わたし」(深尾須磨子『さぼてんの花』)。生真面目で世間知らずの医学生ウジェーヌは、貧しくとも健気に生きるお針娘たちに出会い、心を動かされてゆく(ミュッセ『ミミ・パンソン』)。賑やかな華の都、パリを舞台にした喜怒哀楽の物語三篇。

著者等紹介

ゾラ[ゾラ][Zola,´Emile]
1840‐1902。フランスの作家・批評家。『テレーズ・ラカン』で文壇に登場し、自然主義文学を提唱した。全20作におよぶ長篇小説群「ルーゴン=マッカール叢書」を通じてフランス社会の有り様を描く

深尾須磨子[フカオスマコ]
1888‐1974。兵庫県生まれ。詩人。夫の遺稿詩集『天の鍵』出版を機に与謝野晶子の知遇を得、詩を発表しはじめる。幾度も渡欧し、フルートや性科学を学んだ

ミュッセ[ミュッセ][Musset,Alfred de]
1810‐1857。フランスの詩人・小説家・劇作家。1930年に詩集『スペインとイタリアの物語』を刊行、ロマン主義全盛期に活躍した。ジョルジュ・サンドと交際し、そのいきさつを小説『世紀児の告白』に著した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モモ

49
ゾラ『引き立て役』実業家デュランドーが思いついた新しい仕事。それは”ブス”を隣において自分を引き立てさせること。募集すると本物の”ブス”がこないので、スカウトをパリの街に放つのがなんとも。深尾須磨子『さぼてんの花』めったに咲かないさぼてんの花。巴里で出会った若い男性との恋。ゾラの小説を読んでいた深尾さんの私小説なのだろうか。ミュッセ『ミミ・パンソン』真面目な医学生ウジェーヌが、貧しくも気高く生きるお針子に心動かされる。ミュッセの『戯れに恋はすまじ』を読んでみたい。古き良き時代のパリの香りが感じられる一冊。2023/01/06

臨床心理士 いるかくん

32
3篇から成るアンソロジー。如何にしてそれほど美人でもない女性を美人に見せる商売を営むことを思いついた男の顛末を描いた、皮肉と諧謔に満ちた奇想天外なエミール・ゾラの作品「引き立て役」が出色の出来。2014/02/28

神太郎

29
巴。なかなかこの漢字一字でパリ(巴里)を思い浮かべるのは難しいなぁ笑。ゾラの『引き立て役』は面白いが、ブスを売り物にすると言うのは今の風潮ではちょっと引かれるかもね。でも、あえて見映えをテーマにここまで突っ込むのは斜め上で脱帽。『さぼてんの花』は何て言うか意識高い系女子…。昔からいたんだな、こういう感じの人って感じですかね~。『ミミ・パンソン』はお針子の貧しいがしたたかな部分とその生活を見る医学生の姿が印象的だ。2020/02/20

ピンガペンギン

24
深尾須磨子(1888~1974)兵庫県の旧家出身の詩人。与謝野晶子に見い出された。何度も渡仏。最初に出てくるコレットの手紙からの引用が良い。4年に一度しか咲かないサボテンの花が咲きそうだから娘に会うのはまたにしたいと。須磨子はパリで年下の男と恋をして「私もやっと花になりかけている」とのろける。1932年にこんな作品の発表がされてたんだと驚いた。あとはゾラとミュッセの作品が収録されている。2023/11/29

マッキー

24
ゾラの「引き立て役」、これまた凄まじい話。ブサイクな女性を集め、貸し出し、パっとしない女性の”引き立て役”にするという商売をやる実業家とその商いを書いた話。引き立て役は貴族に貸されて料理やお酒、きれいなドレスに囲まれて一時は満足げになるも、夜仕事が終わると鏡と向かい合い涙で頬を濡らす。インパクトも強く、世の闇や格差、あさましい欲望を見た気分になる。最後に本書に充てられている漢字「巴」はフランスのパリ(巴里)のことか!と三篇読み終えて納得。2017/03/17

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