内容説明
コンビニ、ショッピングモール、家電量販店…いつでもどこでも同じような商品やサーヴィスを提供してくれる安心・安全な街。フラりと立ち寄って、それなりに満足させてくれる都市空間は、何を与え、奪うのか?どのように社会学したらいいのかわからないイマドキのあなたのための指南書。
目次
1 無印都市のフィールドワーク
2 無印都市の消費空間
3 無印都市の趣味空間
4 無印都市のイベント空間
5 無印都市の身体と自然
6 無印都市の歴史と伝統
著者等紹介
近森高明[チカモリタカアキ]
1974年生。慶應義塾大学文学部准教授
工藤保則[クドウヤスノリ]
1967年生。龍谷大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
10
読み物としては面白い。平易な文章で短い事例が編まれていて短時間で読み通せる。が、学生のレポートや卒論の「模範演技」という点ではどうだろう。この本を読んだからといって、すぐに観察眼は養われないだろうし、学術的に考察するための資料や理論は引っ張ってこれないだろう。やはり学術的なものの見方や考え方、知識や情報を得る方法なども知っていなくてはいけない。などと、ごくごくまっとうな原点を確認できた。もちろん具体的な実践例が豊富なので、フィールドワークを指導するためのいろいろな示唆も与えてくれた。 2016/02/15
ケー
6
大学時代以来の再読。改めて読んでみると内容に若干不満を感じる。レポよりもう一歩踏み込んだ記述をしてほしかったなぁ。目線の設定はやっぱり鋭いけれども。2016/09/11
苦虫
6
TSUTAYA、フランフラン、ハンズ…と、確かに着眼点は面白い。しかしミーハー学部生の卒論のような感じ。もっと社会学理論まで落とし込んで欲しかったし、フィールドワークのフィールに頼りすぎてエッセイになっている。何でも題材にできるけど、この軽さや根拠の頼りなさが社会学の落し穴なんだと思う。無印都市という切り口はとても面白いのに…。あとはスタバやドトール、ドラックストアなんかも欲しかった。コンビニの章はなかなか良い。カラオケもコミュニケーションの変遷(皆で盛り上がる→好き勝手に過ごし外と繋がる)、面白かった。2013/11/08
ja^2
4
建築家であり東大教授でもあった内藤廣氏は、毎年最後の課題として「どこにでもある場所と、どこにも居ない私」についてのレポートを学生に書かせたという。もともとは村上龍の小説のタイトルであるが、内藤氏も指摘するように、なかなか鋭く今の世相を捉えてた題名だ。▼私だったら、どう書くか。都市開発を業とする者として、以来頭から離れない。そこで、手に取ったのが本書である。▼世界中に資本主義経済が浸透しつつある現代において、それに依拠した空間は自ずと均質化する。その結果、そこに居る私はどこにも存在し得ないということになる。2014/04/29
Hiromu Yamazaki
4
冒頭で近年の理論的潮流を概観するが残りの殆どの内容は「フィールドワーク」の感想に近い。吉見・東・北田といった代表的論者の捉え方に疑問を呈するのであれば、新しい視座の提示にもっと意欲的であってほしかった。高校生~大学1年向けの平易な文体と内容であり導入の導入としては良いが、それにしては如何せん高めの値段設定。 (恐らくその辺りの年齢層をターゲットとしてあえて「平易」かつ「専門性を排した」取っ付きやすい内容にしているのだろう、ときより抽象概念が飛び出してくるのがそれを伺わせる)2013/09/24