内容説明
『古事記』『日本書紀』を単念に読み解き、実際の遺跡・考古学的資料と比較することで、古代日本を解き明かす。
目次
序章 「国譲り神話」を軽んじるアカデミズム(「国譲り神話」は、日本の統治体制の変化を示す物語;神話を排除する歴史学会 ほか)
第1章 「国譲り神話」と出雲の銅剣(「国譲り神話」の主要登場神;『古事記』の国譲り神話 ほか)
第2章 関東にこそあった「高天原」(出雲大社に発見された茨城・鹿島神宮との共通点;鹿島神宮はどのようにできたか ほか)
第3章 タケミカヅチと物部氏―日本の「もののふ」は関東から(大和朝廷の最高級実力者・物部氏;物部氏の祖、ニギハヤヒとは ほか)
著者等紹介
田中英道[タナカヒデミチ]
1942年生まれ。歴史家、美術史家、東大文学部卒、ストラスブール大学Phd.東北大学名誉教授、ローマ、ボローニャ大学客員教授。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mazda
34
鹿島神宮に祀られるタケミカヅチは、イザナミが亡くなった時、原因になったカグツチをイザナギが切った時の血から化成したとされます。なので、天照大神よりも先輩格の神様です。つまり、太古の昔から鹿島は大きな勢力があり、ここから旅立った船団が行き着いた先が鹿児島、つまり鹿島の子供ということだったとされます。イザナギ・イザナミは筑波山に住んでいたという説もあり、鹿島周辺は一大勢力地だったのではないでしょうか。邪馬台国とか卑弥呼とか、架空の話をするのではなく、記紀に書かれたことを元に歴史考証してもらいたいものです。2023/10/07
かつおさん
19
神話と考古学の融合により歴史が語られる。日本神話の拠り所は殆どが記紀。諸説あるにしても史実との関連性や時の権力者の意図とかあってもおかしくない。むしろ、今日のように”売れる童話を書こう”などとは思わなかったろうし。古代の歴史は、記紀以前に書き残された書がない以上、史跡や発掘物、神話などを総動員して想像するしかない。高天原が常陸国の近くだつたり、”天から降りる”ことが船だったり、鹿島神宮、香取神宮の話も新鮮。荒神谷遺跡の銅器類と国譲り神話の考察も興味深かった。それにしても誤植、誤字が多い本でした😅2020/11/13
しゅわっち
18
面白かったです。日本書紀、古事記に違和感やなにか納得できない人には、とても参考になる本に思います。読んで思ったのは、過去の書物は、都合の悪い内容を載せないのでいびつな書物になったように感じます。鹿島神宮と香取神宮の祭神が国譲りの主役なのにあまり書かれていないことから話が発展していきます。関東の祭神が出てきて、関東や富士山を書かない利用を説明してくれます。著者の学術の限定したものの見方から離れて物事を客観的にとらえようとしています。2021/07/12
軍縮地球市民shinshin
11
考古学の発掘成果と日本神話を結びつけて解釈し、「国譲り」はあったと著者は主張している。あと関東に「高天原」があったという説。物部氏はもともと関東発祥の氏族であったと主張している。古代に関東・東北に日高見国があったという著者の自説の上にこれらの説が述べられているので、日高見国が怪しいと思っている僕には?な内容だった。ただ話としてはおもしろい。2020/11/19
030314
1
邪馬台国はどこにあったのか、卑弥呼はいったい実在したのか、という謎に対して、私達が習った歴史の教科書には納得のいく答えが載っていなかった。その謎を見事に解いてしまった田中氏の本。穏やかな気候の関東平野に住む者として、高天原は東国の日高見国(千葉・栃木あたり?)であるとするのは感覚的にも納得できる。簡潔にまとめられている本なので、読みやすい。2022/01/28