内容説明
外敵を作り出し、庶民レベルで民族主義を発揚させること。それが政権維持のための中国型支配の本質である。周辺民族の目に、共産主義革命はどう映っていたのか。日本の知識人・研究者は近代以降の中国をどう捉えてきたか。日本在住のモンゴル人である著者が、中国独特のナショナリズムの構造を鋭く分析する。
目次
悪魔としての「革命」が生んだ中国の官制ナショナリズム
第1部 モンゴルから見た中国(中国「革命」の本質は対モンゴル暴力―モンゴル人の民族自決と中国人の「革命」のあいだ;「革命の継続」はモンゴル人・ジェノサイド―あるいは中国流植民地支配の実態)
第2部 近現代日本が捉えてきた中国(日本の進歩的知識人の中国観―あるいは「糞の垂れた尻」と「お尻の割れた子供服」;「救々文化」から「破壊力」の究明へ―国立研究機関における中国研究の変遷)
第3部 現代中国の性質(植民地支配と大量虐殺、そして文化的ジェノサイド―中国の民族問題研究への新視座)
中国の官制ナショナリズムを少数民族の視点からよむ
著者等紹介
楊海英[ヤンハイイン]
静岡大学人文学部教授。内モンゴル出身。日本名大野旭(おおの・あきら)。国立総合研究大学院大学博士課程修了。歴史人類学専攻。著書に『モンゴルとイスラーム的中国』(風響社)、『墓標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(岩波書店第十四回司馬遼太郎賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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