平凡社新書
被ばくと補償―広島、長崎、そして福島

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  • サイズ 新書判/ページ数 271p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582856200
  • NDC分類 369.37
  • Cコード C0230

内容説明

3・11の東京電力福島第一原発事故発生以来、長期にわたる影響が懸念される放射線被害の実態。受忍を強いられてきた被爆者の歴史を繰り返さないために、その現実を原発被害者が直面する状況へと接続し、原子力を受け入れてきた国家による補償の在り方を考える。奪われた福島の未来を取り戻すために、いま被爆者たちの遺産を受け継ぐ。

目次

第1章 原発事故被害に対する補償制度―「中間指針」を読み解く(原発事故の被害;原子力損害の範囲;賠償の中間指針;指針の特徴と残された課題;健康調査と健康管理)
第2章 被爆者に対する援護―「原爆被害」の境界(現行の被爆者援護制度―法が定める「被爆者」と「原爆被害」;「被爆者」の誕生―原爆医療法制定まで;医療法改正と特別措置法制定;被害の発掘と責任の追及―被曝者運動の軌跡)
第3章 「放射線起因性」めぐる政治(「三号被爆者」裁判;「黒い雨」指定地域;「被曝体験者」とPTSD;原爆症認定と裁判;ABCC/放影研と被曝者調査)
第4章 被ばくと「受忍」―犠牲を強いられないために(放射線防護と受忍の思想;被爆者に対する受忍論;戦争被害受忍論の系譜;原発事故における「受忍」;戦後補償と原発事故被害の補償)
おわりに―被爆者の苦しみを繰り返さないために

著者等紹介

直野章子[ナオノアキコ]
九州大学大学院比較社会文化研究院准教授。2002年、カリフォルニア大学サンタクルーズ校にて社会学博士号取得。主要著作に、『ヒロシマ・アメリカ―原爆展をめぐって』(渓水社、第3回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モリータ

14
◆2011年12月刊。著者は九大比較社会文化研究院准教授(-2016)、広島市大平和研究所教授(-2020)、京大人文科学研究所准教授(現)。専門分野は社会学、被爆の記憶やトラウマ研究。◆2021年後半、原爆関連の本を続けて読んでいて、広島・長崎の被爆者支援法制についてまとまって読みたいと思い。本書は3.11直後の出版でもあり、広島・長崎のみならず原発事故を含む原子力災害全体を扱っており、勉強になる点も多かった。が、各章節を通じて鋭い政府批判がなされるため読むのは少し疲れた。◆抜き書きも今回はギブアップ。2021/11/23

coolflat

4
被爆者だからといって原爆症認定される訳ではない。無論被爆者は原爆被害者と同義ではない。被爆者には原爆の死者もその遺族も除外されているからだ。この欠落は被爆者援護が原爆被害への償いとしての国家補償制度ではない事を示す。ところで被爆者には被害は受任すべきだと言いながらも放射線に起因する晩発性の健康被害に限っては補償の対象にするというのが日本政府の考え方だ。だから補償の対象として認める範囲をできる限り狭めようとして厳しく放射線起因性を問うている。それにより、被爆者と原爆症、更には原爆被害者の分断に利用している。2014/05/14

成山昌子

1
2011年に出された本です。再読。被爆に対する国の補償制度がどのように作られてきたのか、その問題点を指摘しながら、電発事故の被害者に対する補償が、同じ轍を踏まないようにと警告しています。補償というのは、ただ被害をお金に換算して支払うというものではなく、責任を明確にし、被害を元に戻し、そして繰り返さないことです。これは絶対読むべき。2016/08/26

フム

0
原発事故後の2011年秋に著者が警告したことは、残念ながらその通りになっていると思いながら読んだ。4年目に入り事故そのものによる被害だけでなく、その後の政府の対応や専門家の見解により、被害者の苦しみが深まってしまっている。2014/06/16

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