内容説明
大正から昭和初期の上海で、文化サロン的な役割を果たした伝説の書肆「内山書店」に焦点を当て、対華21ヵ条要求から日中戦争へと続く、日中両国の関係が最悪だった時代のなかで育まれた、両国文化人の交流を描く。激動の時代に築かれた日中友好の架け橋。
目次
第1章 内山完造と上海
第2章 日本から来た文人たち
第3章 左翼運動に走った日本留学組
第4章 魯迅と内山完造
第5章 尾崎秀実とスメドレー
第6章 左翼作家連盟の人々
第7章 芸術劇社の人々
第8章 動乱の渦中で
第9章 魯迅の死と冬の時代
第10章 終戦と復活した交流
著者等紹介
太田尚樹[オオタナオキ]
1941年東京都生まれ。東海大学名誉教授、青山学院大学兼担講師。専門は比較文明論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おらひらお
4
2008年初版。さまざまな経緯があって上海に飛んだ内山完造と中国の文化人との交流を描いたものです。その時期も日中戦争前で、関係がかなり難しい段階での交流であったため、時には命を懸けた行動をとることにもなったようです。ちなみの書店経営のきっかけは妻の軒先販売から始まったそうです。2013/09/25
韓信
1
先日の古本まつりでも立ち寄った、今年で100周年の内山書店創業者・内山完造の生涯と、戦前から戦後の日中国交回復までの激動の時代を、日中文化人の交流の場となった上海内山書店を軸に描く。魯迅、郭沫若、谷崎潤一郎、尾崎秀実、スメドレーら錚々たる面子の人生の交錯、日中戦争へと向かう最悪の状況下であっても日中の友誼を繋いだ内山の人柄とあまりにもできすぎた最期に、大作映画でも観たかのような読後感。日中関係が悪化しても日本の学者を喜んで迎え入れる当時の中国の学生、本屋にヘイト本が積まれる現代日本。どちらの民度が高いのか2017/11/05