出版社内容情報
自国が加害者であったとの告発から韓国社会を鋭く分裂させた言論の対立の構造を、当事者への取材を通じて検証。「負の歴史」を巡る記憶のあり方は、日本にも新たな視座を提示する。
内容説明
ベトナム戦争で韓国軍が虐殺行為を行っていた―『ハンギョレ21』の告発は韓国世論を戦慄させ、事実の解明と謝罪を求めるNGOの活動と、「正義の戦争」に拘泥する保守派の反発を招いた。そして被害者であるはずのベトナム政府は経済発展を優先し、事件を封印している。戦争をめぐる記憶のあり方は、同様の問題をいまだ抱える日本にも新たな視座を提示する。
目次
第1章 韓国における記憶の語り方(韓国民主化闘争とベトナム;「発見」された虐殺 ほか)
第2章 ベトナムにおける記憶の語り方(与えられた刺激;統制される記憶―ベトナム中部各省の動き ほか)
第3章 交錯する記憶―報道一〇年後の軋轢(韓国国家の反応と活動;韓国参戦軍人会の活動 ほか)
第4章 記憶の戦争―和解への道とは(ベトナムはなぜ「過去にフタ」をするのか;切り捨てられた記憶―「過去にフタをして未来へ向かおう」というスローガンがもたらしたもの ほか)
附章 これまでの研究について(ベトナム戦争への韓国軍の派兵とその影響に関する研究など;ベトナム戦争の記憶、特に韓国軍に関わる記憶の研究)
著者等紹介
伊藤正子[イトウマサコ]
1964年広島市生まれ。1988年東京大学文学部東洋史学科卒業、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻から2003年博士(学術)取得。大東文化大学を経て2006年から京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授。著書に『エスニシティ“創生”と国民国家ベトナム―中越国境地域タイー族・ヌン族の近代』(2003年、三元社、第2回東南アジア史学会賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Takeshi Higuchi
ミネチュ