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出版社内容情報
現代アイスランド文学の旗手が、夫婦や恋人たちの愛と絆にひびが入る瞬間を鋭くとらえた、O・ヘンリー賞受賞作を含む十二編。
内容説明
「一月」から「十二月」まで、夫婦や恋人たちの愛と絆にひびが入る瞬間を鋭くとらえた12篇。研ぎ澄まされた感覚、洗練されたユーモアが端正な文章の行間に漂う。アイスランド出身の実力派による、珠玉の第一短篇集。“アイスランド文学賞”“O・ヘンリー賞”受賞作。
著者等紹介
オラフソン,オラフ[オラフソン,オラフ][Olafsson,Olaf]
1962年、アイスランドのレイキャヴィク生まれ。ウィーン奨学金を得て、アメリカのブランダイス大学で物理学を学ぶ。ソニーなど世界的エレクトロニクス企業で活躍するかたわら、86年から小説を執筆。戯曲を含む多くの作品を発表し、母国アイスランドではベストセラーになっている。『ヴァレンタインズ』は2006年のアイスランド文学賞を受賞。アイスランド語と英語の両方で執筆し、英語ではこれまでに長篇を三作発表している。O・ヘンリー賞受賞作を含む『ヴァレンタインズ』は、英語では初の短篇集
岩本正恵[イワモトマサエ]
1964年生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
64
「恋人たち」もしくは「親愛なる者どうし」の関係に取り返しの付かない亀裂の入る一瞬をビリっという音までも瞬間冷凍したような12の月ごとの12の短編集。これ、どうしょうもない修復できないだろ…ってのをよく12も集めたなと思った。特に年の前半の切れ味がするどいです。言動には注意しよう。思慮深くあろうと思いました。おいらだってやるかもしれない。決定的だけど、そんなに暗くならないのが不思議。読みやすくて自分に合っていると思いました。アイスランド出身のアメリカ在住の作家のお勧めの一篇です。2016/09/03
あさうみ
45
こ れ は!アイスランド作家の短編集ということで興味惹かれ。男女の恋愛をテーマに編んであるのだが、ふとしたことから関係がひび割れ避ける。厳しく突き刺さる。もう一編くらい甘い幸せな雰囲気で終わってもいいんやないのと泣き言をいいたくなるが…既婚の方は違う感想をもつのかな。2019/08/13
藤月はな(灯れ松明の火)
35
家族や恋人などの親しい関係では、不愉快でも感情を麻痺させないと一緒に暮らしていけない時が必ず、ある。決して忘れられない思い出を隠しても僅かな隙間に指を差し入れてソっと見つめるような短編集。「三月」の不妊の夫婦の張り詰め感がキツく、「四月」の夫婦の不信では認識の違いの発覚から始まる『フレンチアルプスで起きたこと』を連想。「五月」の「別れると寂しいから近所に住むわ」と言いながらヨハンには「動揺する権利はあるが今は怒りを表現する時じゃない」というカレンの身勝手さにはヨハンもああなるしかなかったと思わざるを得ない2016/02/14
キキハル
33
「恋人たち」と題するこの本はひと月に一つずつ12の短編を収めるが、微笑ましい話はまったくない。これは人が結ぶ関係に傷ができ、ひびが入り、やがて崩壊する物語だ。別れには様々な形と経緯がある。小さな嘘。些細な裏切り。まやかしの微笑。彼らはみんな感情を押し包みがちだが、それはアイスランドの風土と深く関わりがあるという。無駄をそぎ落とした静謐な文章からも窺える。冷たく静かで、けれども内面では熾火のようにくすぶる愛憎。特に二月と三月が身に染みた。修復不可能でも耐えてしまうのか。私ならどうするだろうと考え込んだ一冊。2012/04/19
はる
25
子供ができない夫婦のスキー場でのお話し、切なかったな。2020/02/22