ちくま学芸文庫<br> 天上大風―同時代評セレクション1986-1998

ちくま学芸文庫
天上大風―同時代評セレクション1986-1998

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  • サイズ 文庫判/ページ数 397p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480092649
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

内容は後日登録

内容説明

世界が揺れ動き、時代の枠組みが大きく変わった20世紀末、旺盛な好奇心と透徹した歴史眼をもって書き続けられた同時代評から71篇を精選編集する。パリ、バルセロナ、富山―旅で出会ったものや言葉、自身の記憶や感覚から生まれる、小さな当惑と驚愕。思考はやがて、ヨーロッパの永い歴史の断層への驚嘆や、いにしえの日本の多様な文化的伝統への愛着へ向かってゆく。いまに触発されて過去を発見し、過去によっていまを見出す―自らの人生と言葉をめぐる経験と思索を注ぎ込んだ短くも鋭いエッセイは、20世紀を代表する文学者が遺した、未来へのメッセージでもある。

目次

誰も不思議に思わない(古市(町・村)復旧コンクール
歴史は繰り返さない ほか)
時空の端ッコ(草野心平追悼;ラテン文と漢文 ほか)
未来からの挨拶(私のパリ;ベイルートとダマスカス ほか)
空の空なればこそ(薬屋三態;思想家としてのローマ法王ヨハネ・パウロ二世 ほか)
天上大風(言語教育について;トレド翻訳センターの復活 ほか)

著者等紹介

堀田善衛[ホッタヨシエ]
1918年、富山県高岡市に生まれる。慶応大学文学部フランス文学科を卒業。1952年、「広場の孤独」その他の作品により芥川賞を受賞。1998年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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浅香山三郎

10
堀田善衞の『ちくま』における連載をまとめた本。1986年から1998年に至る連載なので、冷戦期から東欧革命、ソ連崩壊に至る。冷戦は終はつたが、民族紛争は続き、ユーゴ内戦・湾岸戦争と戦争は終はらない。さうした日々の情勢に触れつつも、ヨーロッパ、とりわけスペインを拠点に長いスパンの文明史をベースにした思索が味はい深い。古今東西の事物を背景にしたユーモア溢れる思索と、出会つてきた文学者たちの営為にも触れ、スケールも大きい。かういふ視野の広い作家は暫く日本には出ないのではないかと思はれる。2022/06/04

Francis

8
エッセイ集。堀田さん、ようヨーロッパのこと知ってますなあ、と言うのが率直な感想。東西冷戦の崩壊、ユーゴスラヴヴィア内戦と崩壊と言う激動の時代の状況が文章ににじみ出ている。もうこんなコスモポリタンで視野の広い小説家はもう日本に現れることはないのかも。2016/10/27

onisjim

3
読んでいるとコスモポリタンとはこんな人のことをさすのかね、と思ってしまうわな。そして友人のサルトルといったことを平然と書いてのける、こういう爺さんを失ったのはわれわれの不幸であるのかもしらん。たいへんおもしろいエッセイ集でしたよ。2014/08/16

トビケ

0
大学時代に貪るように読んでいたものを、だいぶ時が経ってから恐る恐る手に取る。つまらなくなっていたら、それはそういうものとして、悲しくはあるが、よくあることと諦めもつく。引き続き面白かった場合は、引き続き面白いだけの理由があるわけで、それに思いを馳せる。時代があまりにも違うのに、その、時代の通奏低音を奏でようとするスタンスは、変わらず魅力的。今更ソ連崩壊時の話を読むと、感慨深くもある。我が人生はしかし、ここまでコスモポリタンなものにはならなかったなぁ。2024/03/25

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