ちくま学芸文庫
カントはこう考えた―人はなぜ「なぜ」と問うのか

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  • サイズ 文庫判/ページ数 286p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480092144
  • NDC分類 134.2
  • Cコード C0110

内容説明

本書を読めば、哲学を勉強したことのないあなたでも『純粋理性批判』がわかる!本書では理性の宿命的パラドックスであるアンチノミー(二律背反)問題を中心に据え、カントが徹底的に追求した問いを、じっくりと解きほぐしていく。カントはこう考えた…西洋の近代合理主義で謳歌されてきた「理性」は、アンチノミーという身から出たサビを暴く理性批判によって、新たに復活しなければならない、と。この理性の起死回生のドラマをめぐる思考のメカニズムとダイナミズムを、さまざまなたとえを駆使してスリリングに読み解く。カント思想の核心がはじめてわかる、不朽の入門書。

目次

第1章 理性とはどんな能力だろうか
第2章 理性が破綻する
第3章 理性の世紀の哲学ドラマ―理性の謳歌
第4章 理性の試練
第5章 理性の起死回生
第6章 「なぜ・なぜならば」の極限としての自由―起死回生(その二)

著者等紹介

石川文康[イシカワフミヤス]
1946年、北海道生まれ。同志社大学大学院博士課程修了。ハイデルベルク大学、ボン大学に留学、その後ミュンヘン大学、トリアー大学にて客員研究。カントを中心とする近世ヨーロッパ哲学専攻。カント研究の第一人者として知られる。現在、東北学院大学教授。哲学博士(Dr.phil.)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヨッフム

15
理性によって、理性の働きを証明する、という宿命的なパラドクスに挑んだ近代合理主義者たちの挑戦の歴史を、難解な用語と平明な補足・初学者向けの例をもとに、紐解いていきます。とりわけカントの提唱した重大な概念「アンチノミー(二律背反)」が、どういう歴史的経緯のもとで、導き出されたのか、が大変興味深かったです。宿命的に自己矛盾に陥ってしまう理性とは、相続放棄することができない、人類共通の共有財産(負債)であると喩え、それを自覚した者だけが、負債を返済できる可能性を持つ、という石川さんの言葉に、胸を打たれました。2015/01/20

月をみるもの

12
こんど子供に質問攻めにあった時に、「君はなぜ「なぜ」と問うのか?」と問い返したい。その上で、すこし大きくなった時に、この本を贈ろう。自分が石川先生に京都で買ってもらった本のように、その子にとっての宝となることを願って。2018/06/26

よしくん

6
『純粋理性批判』をカント本人の論じ方とは別の順番で論じてあるから理解が深まる。また、決定論者でリアリストだというカントの意外な側面も興味深い。第六章の自由を論ずる所については、言いたいこと考えることが沢山。人間だけが自由なのか?とか逆に自分以外の人達が自由である事をなんでカントは分かるのか?とか人の自由を要請するなら神の自由は想定しなくてよいのか?とか納得できない部分が山ほどある。第六章は3回読んだがその度に新しい気付きがあって、ここが一番面白かった。2023/12/11

yakisoba

5
カントの「純粋理性批判」を読む助走段階として軽い気持ちで読んでみた。文体は難しくないものの、一つ一つの言葉が明確に定義されており、日常的に使ってるものでも、辞書を引き直しながら意味を正確に把握しないと読み進められない。また同時期に活躍していた哲学家の著書の引用も多く、それ等の関係も把握しながら読まないと全体像が掴みにくい。自分自身の読書の取り組み方を根本的に考えなおさないといけないと自覚した一冊だった。2012/01/08

tunehiro

3
「理性」の”理”は「理由」の”理”であり、「なぜ?」と問うことが理性の本質であり、「なぜならば」の極限に意思決定としての「自由」がある。「人間は理性的動物である」とは、理性が人間の本質だという事にあるのではない。人間が理性の自己実現の「場」だと言う事、という指摘には”ひざを打った”。2009/07/02

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