ちくま学芸文庫
わたしは花火師です―フーコーは語る

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480091659
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0110

内容説明

『狂気の歴史』から『知の考古学』『監獄の誕生』と中期の作品を書き継いで脂ののりきったフーコーの初訳対話・講演集。自らの軌跡についてはあまり語らなかったフーコーが、学生時代、若手教授時代の雰囲気などにもふれ、率直にその仕事を語る2編の対話、カントの「啓蒙」と「批判」というテーマを正面から展開し、18世紀における知と権力の関係の画期的な転回を明らかにする白熱の講演、中世以来の施療院的医療体制が17‐19世紀初頭にかけて近代的な病院=医学的知の体制に転換する過程をていねいに解明する講義2編を収める。70年代後半のフーコー自身による、格好の著作案内である。

目次

わたしは花火師です―方法について
哲学を厄介払いする―文学について、これまでの軌跡について
批判とは何か―批判と啓蒙
医療化の歴史
近代技術への病院の統合

著者等紹介

フーコー,ミシェル[フーコー,ミシェル][Foucault,Michel]
1926年フランス・ポワティエ生まれ。高等師範学校で哲学を専攻、ヨーロッパ各国の病院・研究所で精神医学を研究する。1969年よりコレージュ・ド・フランス教授。1984年没

中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。東京大学教養学部中退。思想家・翻訳家。インターネットの哲学サイト『ポリロゴス』を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ころこ

41
タイトルと同名のインタビューでは、思いのほか率直に、自らの仕事の意味を語っています。「わたしの歴史的な研究の対象は基本的に、この近代性の<しきい>だけなのです。」「真理には権力が伴うのです。」「わたしは歴史をあくまで道具として利用します。」「批評とは何か」では、18世紀の啓蒙の時代が権力の行使であり、それを批判する実証主義、客観性、合理化、技術化も、それらが権力の過剰な行使に至るのはなぜかと問い掛けます。そう言っているこの批判も権力のため、知と権力を記述するのではなく、その結び目を記述するのだといいます。2019/07/13

chanvesa

22
単なる支配・権力の方法暴露ではない。「批判の最初の定義として、この一般的な特徴、すなわち〈このような形で統治されないでいるための技術〉という定義を提案したい」(77頁)。統治の否定ではないが、「医療化の歴史」を読んでも、生活の全体主義へのレールが引かれているではと思ってしまう。これで他の統治というのは何をイメージしていたのだろうか。フーコーの方法論として面白さは何となくわかるが、ヴェーバーの呪縛を破壊しようとするような強さの思想はあるのだろうか。2015/08/14

白義

18
フーコー初期の講義やインタビュー集であり、フーコー自身によるものでは一番分かりやすいフーコー入門として楽しめる。わたしは花火師です、は梶井の檸檬をさらに深化させたような、概念と権力ネットワークへのテロリズム、概念の爆弾宣言として読めるだろう。梶井の檸檬爆弾もフーコーの哲学花火も、今いる世界の光景を一変させる破壊力に満ちている。フーコーの花火の方が身心、社会への効果もでかくて個人的には好み。今ある真理、知への批判とオルタナティブな真理のゲームの実践、自由、追究は初期から後期まで変わっていない2011/11/06

梟をめぐる読書

15
『狂気の歴史』から『言葉と物』『知の考古学』『監獄の誕生』までの著作を書き継ぎ、理論と実践の両面において方法論の深化が果たされつつあった時期のフーコーによる講演集。過激なマニフェストに見えて「書くこと」への真摯な態度が伝わる「わたしは花火師です」。批判は〈統治されないための技術〉であるという「批判とは何か」。かつて病人隔離のための施設であった「施療院」が如何にして医療による完治を目的とした「病院」へと作り変えられていったかを素描する「医療化の歴史」。いずれも著述的な達成が先にあるからこそ、安心して読める。2013/02/23

ラウリスタ~

13
申し訳ないですけど、僕はフーコーが嫌いだったんです。まったく興味の向き方も違うし、どうしても好きにならない、というか食わず嫌いしていた作家。この講演集を読むとフーコーにちょっと興味が沸いてくる。なんで監獄だとか狂気だとかから彼は思考を始めるのか、そこがいまいち分からないところだったんですが、彼の問題意識は共有できた。講演集だけあって圧倒的な読みやすさ。二時間もあれば読めてしまう。それでいて彼の考え方の癖みたいなものが見て取れる、よく選ばれたテキストかと。たぶん、入門として最適か。2011/10/12

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