出版社内容情報
共同通信運動部[キョウドウツウシンウンドウブ]
編集
内容説明
二〇二〇年一〇月一二日、アスリートの性的画像問題についての第一報が配信された。共同通信運動部の女性部員ふたりからはじまった一連の調査報道は、JOCや警察を動かし、社会的なうねりを巻き起こしていく。調査報道の舞台裏から、盗撮罪をめぐる法制度整備の動きや盗撮加害者の実態解明まで、これからのスポーツと盗撮の問題を考えるための一冊。
目次
第1章 アスリート盗撮を世に問う(鎌田理沙)
第2章 ニュースの反響(鎌田理沙)
第3章 JOCと警察組織(益吉数正)
第4章 盗撮罪をめぐる動き(品川絵里)
第5章 アスリートたちの告白(品川絵里)
第6章 加害者の実態(田村崇仁)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イトノコ
19
図書館本。東京五輪などで問題が明るみに出た、(主に女性)アスリートを性的に強調した画像を盗撮、拡散する問題を取材した当事者達によるルポ。/許しがたい行為でありながら、解決が難しい問題。法整備をするならどう線引きするか、純粋な家族やファンの撮影をどうするか、等。ひとつ言えるのは、異性を前に性的魅力を感じることと、それを盗撮・拡散することの間には大きな差があること。最終的には個人のモラルと、盗撮を許さない社会の雰囲気に帰結するのかな。アスリート、芸能人、グラドルだとしても本人の意図しない性的消費は許されない。2023/04/09
marumo
15
オリンピック期間中、ドイツ選手達が足首まで覆うユニダードで参加したことが問題提起のきっかけの一つとなったそう。スポーツ観戦に関心がないので知らなかったのですが。アスリート盗撮はずっと問題視されていたにも関わらず、一方で仕方がない…と諦められてきてもいたとのこと。多くのスポーツ団体が結束して「許さない」と声明を出せたことはよかった。盗撮を刑法で取り締まれないということも初めて知りました。元盗撮者の厳罰化が必ずしも効果があるとは思わない、死刑であってもやる人間はいる、という言葉に暗澹としました。2022/10/22
kenitirokikuti
7
共同通信運動部の新米女性記者らがコロナ禍下で進めたテーマ。21年度新聞協会賞の最終候補に残ったそうな。東京五輪のため東京勤務になったけどコロナ禍でスポーツ取材がままならなくなったのでひねり出された企画のようだ(2020年春から夏にかけで、おれも自宅待機だったなぁ)▲スポーツ業界とジェンダー平等性という具合に強引にからめることもできるが、例えば朝日新書『スナップ写真のルールとマナー』(2007)、『SNS時代の写真ルールとマナー』(2016)みたいなところで論は尽きてるだろう。アサヒカメラ、2020年休刊2022/09/15
てくてく
6
性的な盗撮罪に関する知識を得るために購読。東京オリンピックを控えていたこと、アスリート界におけるハラスメントの問題がある程度共有されるようになっていたこと、女性アスリート(コーチなども含む)による「次世代にこの問題を背負わせない」という決意、そして性犯罪既定の見直しの機運がある程度一致したことで、今回の盗撮罪制定に至ったものの、アスリート盗撮のような外から見える着衣(下着などではない)の場合の規制の難しさは残された課題になっている。2023/07/05
ミチ
5
難しい問題であるが盗撮となるとやはり犯罪である。純粋に写真を撮りたくても許可が必要な事。しかし時代が変われば当たり前である。年代により受け入れづらい場面もある。2023/11/12