出版社内容情報
近代的思考を越えようとした現代思想。難解な著作を一気に30冊解説。なんとなく知っているから本当の理解へいざなう。
内容説明
近代的思考の限界を乗り越えるため、新たな思考の様式を獲得しようとした「現代思想」。それはフランスを中心に影響力を及ぼした構造主義から、そこにある近代の残滓を批判的に捉えたポスト構造主義へと発展していった。それらは、従来の「哲学」に限定されることなく、精神分析や言語学など様々な方法論によって展開された。さらに、その流れは、現代資本主義分析や脱近代的な方向での社会批判の潮流も生み出していく。幅広くかつ難解なものが多いといわれる現代思想の著作を一人の書き手が丁寧に解説したこれまでにはないブックガイド。
目次
1 現象学・実存主義
2 構造主義
3 ポスト構造主義
4 表象文化面からの資本主義批判
5 文化的他者論
6 日本の現代思想
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年、広島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専門は法哲学、政治思想史、ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
44
平凡なタイトルですが、とても優れた本です。「名著」の内容は案外さらっとしており、その前提となる哲学者・思想家についての理解、哲学者・思想家の時代背景、その哲学者・思想家の影響関係(系譜)が書かれています。ラカンとドゥルーズ・ガタリ、吉本のところではフロイトに、アルチュセールとデリダ、ネグり・ハート、廣松、柄谷でマルクスに言及しており、思想・哲学史のようになっています。ひとりにつき一冊と思いきや、デリダだけ2冊紹介されており、29人の哲学者・思想家が登場します。サルトルが入っているのは意外ですし、クリステヴ2020/01/11
壱萬弐仟縁
40
生活世界とは、後期のフッサールの中心的な概念で、その都度の対象意識の背後に隠れて働いている様々な地平の総体というべきものであり、意味形成や対象の存在、個別的経験の地盤になっている(016頁)。生活世界の中でこそ、超越論的主観性の具体的な働きが見えてくる。生活世界へと回帰することで、理性がどこに向かって自己実現しようとしているのか明らかにすることこそが、フッサールにとっての哲学の使命(021頁)。 2017/09/12
森
16
2章の構造主義、3章ポスト構造主義を中心に、つまみ読みです、学生の頃無理くり読んでましたが、もう読み解けないですし、理解も深く出来ないですね、この手の本はある程度読みこなしていないと読めません、ただ、上っ面読みでも、それなりに人生経験をしていると理解がおよぶのですが、今回は残念、本当に上っ面だけです。5年後に再読します、忘れなければ(^_^)a2017/08/27
孤独な読書人
15
現代思想は言葉が難解で難しいイメージがあり本書を手にとってみたがやはり何を言ってるかわからない部分があった。 2018/02/03
やまやま
10
紹介される30冊のうちどれだけ「見た」ことがあるか考えるとコメントは恥ずかしいのですが、実存主義では、若いころに読んだいくつかの著作の紹介を拝読するに、自身の発想の原点を確認できました。構造主義から資本主義批判にいたる15冊は殆ど紹介をそのまま味わうことになりましたが、文化的他者論及び日本の現代思想に挙げられている10冊は制度に対するアンチテーゼを各々感じて、多角的に社会を見ることの重要性を諭された気がします。ちなみに、ロールズなど、現代リベラリズムに関する分野があれば一層うれしかったです。2019/05/10