出版社内容情報
従来の茶道史研究では見落とされがちであった中国の文人茶や煎茶にも注目しながら、日本の喫茶文化の長い歴史を語ります。〈喫茶の歴史は日本だけ、茶の湯だけでは語れない〉
〈新進気鋭の筆者による?新しい?「茶道教養講座」全16巻。第9回配本〉
嵯峨天皇の時代に唐風の喫茶が伝わって以来、中世には茶の効用が知られて寺院を中心に茶が飲まれ始め、南北朝時代には茶が嗜好品となって、安土桃山時代に「茶の湯」という喫茶文化が大成します。日本の喫茶文化のなかでは抹茶に注目が集まりがちですが、禅院での喫茶にも煎じ茶は用いられ、茶の湯の時代にも煎茶は共存していました。そして、茶を愛好する人々の理想像は、いつも中国唐時代に『茶経』を著した陸羽であり、「茶歌」を詠じた文人・盧同でした。従来の研究では見落とされがちな煎茶にもしっかりと目を向けて、日本の「喫茶史」を語ります。
木村栄美[キムラエミ]
著・文・その他
内容説明
平安時代に唐風の喫茶が伝わって以来、「お茶」は日常茶飯事としてつづいています。「茶の湯」という日本独自の文化が育まれる一方に、中国伝来の煎じ茶や煎茶が共存していました。そして、抹茶も煎茶も、その愛好者の理想像は、陸羽と盧同だったのです。
目次
第1章 唐風喫茶文化(喫茶文化の幕開け;唐代喫茶文化 ほか)
第2章 中世日本の喫茶文化(喫茶の普及と茶の役割;禅宗寺院における喫茶 ほか)
第3章 茶の湯と煎茶(茶の湯と煎茶の共存状況;近世初期の煎茶 ほか)
第4章 道としての喫茶(茶の湯・茶道・侘び茶の概念;千家と武家の茶 ほか)
著者等紹介
木村栄美[キムラエミ]
京都造形芸術大学通信教育部非常勤講師。兵庫県生まれ。京都造形芸術大学大学院芸術専攻博士課程修了。学術博士。専門は日本文化史、喫茶文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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