出版社内容情報
戦後日本の女性政策の原点である占領期の政策はどのように推進されたのか。日米の女性担当者のネットワークを軸に、労働・教育政策成立のプロセスを克明に追跡する。
女性解放をめぐる占領政策は、アメリカの女性政策や女性運動、女性観との深いつながりのもとに進められた。本書はその解明を中心に、日米の女性政策推進ネットワークの重要性を明らかにするものである。女性選挙権、労働省婦人少年局の設立、男女共学・女子高等教育の推進などをとりあげ、女性政策の成立と展開を描きだす。
[関連書] 豊田真穂 『占領下の女性労働改革』(勁草書房刊)
はしがき
第Ⅰ部 女性解放をめぐる占領政策の特質
第1章 アメリカ陸軍女性部隊(WAC)の成立
1 はじめに
2 WACの成立過程
3 ジェンダー再構築のためのもうひとつの戦争
4 セクシュアリティの再構築
5 エンパワーメントの限界と可能性
第2章 エセル・ウィードと女性政策
1 はじめに
2 日本占領政策と「女性解放」
3 エセル・ウィードの女性政策
4 選挙権行使のための情報事業
第3章 労働省婦人少年局の設立過程
1 はじめに
2 婦人少年局の設立過程
3 行政改革と婦人少年局存続運動
4 メアリ・ビーアドの助言
5 ウィードの女性政策の特質
第4章 メアリ・ビーアドの思想と行動
1 はじめに
2 女性史家としてのビーアド
3 著作と活動
4 思想とその意義
5 アメリカの鏡としての日本
6 「歴史における力としての女性」の今日的意義
第Ⅱ部 占領政策と男女共学
第5章 日本占領教育計画
1 はじめに
2 戦時期アメリカの日本教育改革構想―男女平等教育の起点
3 戦後の対日占領教育政策―男女平等教育の規定
第6章 第一次アメリカ教育使節団報告書
1 はじめに
2 終戦直後の女子教育政策
3 教育使節団報告書作成過程
4 男女共学の勧告
5 勧告の意義
第7章 教育基本法「男女共学条項」
1 はじめに
2 ドノヴァンの戦略
3 「男女共学条項」制定過程
4 男女共学パンフレットの作成
5 清水(小泉)郁子と男女共学
6 「男女共学条項」成立要因とその課題
第8章 女子高等教育制度の改革
1 はじめに
2 戦前の女子高等教育
3 占領期の女子高等教育制度の改革
4 女子高等教育顧問の活動と女子教育観
5 1940年代のアメリカの女子高等教育
6 占領期女子高等教育制度改革の特質
第9章 婦人団体の民主化と女性教育改革
1 はじめに
2 女性教育改革を担った人々
3 占領下の婦人教育
4 婦人団体の民主化
5 ウィードのめざしたものとその軌跡
6 ウィードの主張と婦人団体との落差
第10章 地方軍政部女性問題担当官の任務と活動
1 はじめに
2 地方軍政組織
3 地方軍政部女性問題担当官の活動
4 なぜ地方において婦人教育活動が芽生えたか
5 戦後の歴史の教訓をふまえて
あとがき
参考文献
索引
初出一覧
目次
1 女性解放をめぐる占領政策の特質(アメリカ陸軍女性部隊(WAC)の成立
エセル・ウィードと女性政策
労働省婦人少年局の設立過程
メアリ・ビーアドの思想と行動)
2 占領政策と男女共学(日本占領教育計画;第一次アメリカ教育使節団報告書;教育基本法「男女共学条項」;女子高等教育制度の改革;婦人団体の民主化と女性教育改革;地方軍政部女性問題担当官の任務と活動)
著者等紹介
上村千賀子[ウエムラチカコ]
1942年富山県に生まれる。1978年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1978~97年国立婦人教育会館勤務。群馬大学教育学部教授(生涯学習・ジェンダー専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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