内容説明
習慣に基づく道徳判断の原理である「一般的観点」。この概念を軸に、ヒュームの知識論と道徳論のパラレルな関係を解明し、ヒュームの主著を一貫した道徳理論として精緻に解釈する。
目次
「人間に固有の自然」と道徳
1 人間に固有の自然(抽象観念と習慣―「一般的観点」の認識論的基礎;空間・時間論の意義;因果論と規範の生成;「外的物体論」の道徳哲学的意義)
2 公共的秩序と道徳(シンパシーと情念の公共的知覚;一般的観点とスミスの公平な観察者;ホッブズとロックにおける正義の認識論的基礎;正義と一般的観点;「道徳の理由」―「狡猾な悪人」をめぐって;契約と政府への忠誠)
著者等紹介
矢嶋直規[ヤジマナオキ]
1963年岐阜県に生まれる。2005年エディンバラ大学大学院社会科学研究科政治学専攻博士課程修了、Ph.D.敬和学園大学を経て、国際基督教大学教養学部上級准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
1
面白いけど どこかで見た話のような気もする2013/10/31
ppp
1
純粋に本性的、本能的、想像的な連合原理と、知性的な理性との間で成立する「一般的観点」を、ヒューム哲学全体のキータームとして見る著作。同時に特徴的なのは、『人性論』の副題の"moral"を「精神的」ではなくあくまで「道徳的」と捉え、ヒュームの本来の目的が道徳の成立の記述であると考える。知覚(空間や時間)、因果論については概ね同意できるが、論文集の体裁が強いせいか、もしくは「一般的観点」にこだわりすぎているせいか、あまり学ぶ所は多くなかった。後半についてはもう少し考えてみたい。2012/05/29