出版社内容情報
20世紀の重要な思想家メルロ=ポンティの魅力を読み解き、いま介護・芸術などでも生かされるその豊穣さを拡張する。加賀野井秀一、松葉祥一、合田正人、木田元、竹内敏晴ほか。
目次
初めての読者のためのメルロ=ポンティ(入ることと始めること―哲学入門と哲学の再開;湧き続ける魅力―メルロ=ポンティの思想を辿る)
主著解題(『行動の構造』;『知覚の現象学』 ほか)
メルロ=ポンティの迷宮―その思想の近傍を探る
新たな展開(メルロ=ポンティのアクチュアリテ;メルロ=ポンティの拡がり―科学、フェミニズム、介護、政治)
初訳 フランス文明について―ボーヴェ高校講演
鼎談 メルロ=ポンティの世界
対談 メルロ=ポンティの衝撃
論考(眼は世界の立案者―「眼と精神」を中心に;眼で触れる―メルロ=ポンティの欄外に ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
14
20世紀半ばに創造的な哲学を行ったメルロ=ポンティの入門書。主著解説がどれも分かりやすくとても丁寧であり、原典に触れたくさせる。ぼくはとくに『知覚の現象学』と『眼と精神』に惹かれた。また、1932年に当時24歳の彼が行った講演「フランス文明について」が訳出されているが、ドイツ知識人に評された"フランス文明"を論じつつも愛国の精神を超えた含蓄に富んだ内容で読みごたえがしっかりしているのでぜひ読んでほしい。後半に詰まったいくつかの論考からは、晩年の彼が提出した"肉"の概念にも触れることができる。おすすめです!2019/12/13
Bevel
5
なんとなく読んだ。主著解題がわかりやすくとてもよかった。合田さんの文章のつれづれした感じは昔から変わってないんだなと思ったし、一方でそんな前からバルバラスとドゥポルタイユ読んでるのか、変わらないなあとも思った。あと人間に超越論的「両義性」があるっていうのは、誰が言ってても、もやっとするなあと思った。2011/01/10
Bartleby
2
主要著作の要約が載っているのが入門として便利。今読んである程度理解できて面白かったのは、ベルクソンとメルロ=ポンティとの比較がされている前田英樹さんのインタヴューでした。ベルクソンは説明し、メルロ=ポンティは記述する。メルロ=ポンティにとって知覚は付け加えることであり、ベルクソンにとっては縮減すること。近いと思っていた二人の違いを強調してくれているおかげで、イメージが少し掴めた気がする。2013/10/19
Shinya Mizuno
0
知覚の現象学を読んではみたものの、理解どころか要旨さえも捉える事ができないまま読了。知覚の現象学、見えるもの見えないものの著書が中心であるが、様々な人がその人なりの見解が書かれており、本の少しだけでも、伝えたい事を感じ取れた様な気になった。2013/03/06