内容説明
紀貫之。日本の和歌に漢詩に基づく機知的な表現を導入し、明治期まで続いた長い和歌伝統の礎を作った古今集歌人。受領階級という低い官位のまま終わったが、職能歌人として多くの屏風歌を提供、晩年には仮名文の日記紀行『土佐日記』を著すなど生涯を表現者として過ごし、『古今集』仮名序の「やまと歌は人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける」と始まるその文章は、日本初の歌論として後世に多大の影響を与えた。『百人一首』に「人はいさ心も知らず―」の名歌を残す。
目次
夏の夜のふすかとすれば
桜花散りぬる風の
桜散る木の下風は
袖ひちてむすびし水の
人はいさ心も知らず
桜花とく散りぬとも
秋の菊にほふかぎりは
見る人もなくて散りぬる
夕月夜小倉の山に
行く年のをしくもあるか〔ほか〕
著者等紹介
田中登[タナカノボル]
1949年愛知県生。名古屋大学大学院単位修得。現在、関西大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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