内容説明
7つの交響曲、ヴァイオリン協奏曲、“フィンランディア”など、数々の名作を生み出した巨匠ジャン・シベリウスの全貌に迫る。最新の研究成果を盛り込んだ画期的な評伝の誕生!シベリウス没後60年、フィンランド独立100周年記念刊行。
目次
生涯篇(ハメーンリンナ時代(一八六五~一八八五)
ヘルシンキ音楽院時代と留学(一八八五~一八九一)
フィンランドの民族精神を求めて(一八九一~一八九三)
疾風怒涛の時期(一八九四~一八九七)
交響曲への道(一八九八~一九〇〇) ほか)
作品篇(交響曲;管弦楽曲;劇音楽;室内楽曲;ピアノ曲 ほか)
資料篇
著者等紹介
神部智[カンベサトル]
茨城大学教授。ヘルシンキ大学大学院博士課程修了。博士(音楽学)。大阪大学、宇都宮大学、国立音楽大学講師を歴任。東京藝術大学、横浜国立大学、早稲田大学の公開講座、自治体主催の市民講座の講師をはじめ、NHK番組の出演・監修など、多方面で活躍している。シベリウスに関する論文、エッセイ、プログラム・ノート、ミニチュア・スコア(音楽之友社)の解説を多数執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のっち♬
115
理論習得にはじまり作曲家として生涯孤独を貫いたシベリウス。交響曲の在り方を根本的に問う時代を生きた彼は毎作難産に陥った。着想と構造化を分離させ、素材を作品間で往還させる可能性の洞察力と柔軟な発想力が彼を大成させたのだろう。無論、周囲のサポートがあってこそだが。周囲の当惑や外的影響を意に介さなくなった意味で4番は重要な転換点。孤独や超越的存在を求める一方で社交性も見せる性格は、神秘と寂寥を湛えた楽想の中に時折覗かせる人懐っこさと重なる。ストイックな姿勢が最終的に自己批判となって筆を折らせたのは皮肉な悲劇だ。2021/11/14
汲平
6
シベリウスの劇伴奏音楽集というCD6枚組輸入盤を買いました。音楽は素晴らしいのですが、解説が英語なので、劇のストーリーが判らず・・・。図書館で借りて、せっかくなので楽曲解説だけでなく生涯篇も読んでみました。酒とタバコと贅沢におぼれ、借金だらけで、家庭の困難から逃げ回り、人としてどうかという感じですが、それなのに音楽は素晴らしい。音楽家にはこういう人いますよね。モーツァルトもブルックナーもヤナーチェクも一種の生活破綻者ですものねぇ。2018/10/05
おだまん
4
もっともっと作品を味わってみたくなりました。2018/04/30
watershed
2
シベリウス=フィンランドのナショナリズムを音楽で体現、みたいな図式は単純過ぎるとわかる。通った音楽院は1882年創立で教師も教材も不充分、弦楽四重奏団もないという状態だったらしい。 スウェーデン系とフィンランド系の対立、ロシアへの抵抗、独立後の左右対立等政治的な背景も理解できる。2020/03/23