文春文庫<br> ムーンナイト・ダイバー

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文春文庫
ムーンナイト・ダイバー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167912055
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

震災と津波から四年半。深夜に海に潜り、被災者らの遺留品回収を続ける男の前に美しい女が現れ、なぜか遺品を探さないでくれと言う。震災から四年半が経った地で、深夜に海に潜り、被災者たちの遺留品を回収するダイバーがいた。男の名前は瀬奈舟作。金品が目当てではなく、大切な家族や恋人を亡くした人々のために、ボランティアに近い形で行なっている。ただし、無用なトラブルを避けるため、ダイバーと遺族が直接連絡を取り合うことは禁じられていた。

ある日、舟作の前に透子という美しい女性が現れる。彼女も遺族の一人だったが、なぜか亡くなった自分の夫の遺品を探さないでほしい、と言う――。



フクシマの原発避難区域圏内にも入って取材し書かれた、著者の新たな代表作となる鎮魂の書。サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)についても強烈に考えさせられる問題作です。

巻末に新たな書下ろしエッセイ「失われた命への誠実な祈り」を収録。

天童 荒太[テンドウ アラタ]
著・文・その他

内容説明

震災から四年半が経った地で深夜に海に潜り、被災者たちの遺留品を回収する瀬奈舟作。大切な家族や恋人を亡くした人々を募っての会員制による活動だったが、彼自身も津波で両親と兄を失っていた。ある日、遺族の一人である女性が現れ、なぜか亡くした夫の指輪を探さないでほしいと言う―。著者の新たな代表作となる鎮魂の書。

著者等紹介

天童荒太[テンドウアラタ]
1960年、愛媛県生まれ。86年に「白の家族」で第13回野性時代新人文学賞を受賞。93年には『孤独の歌声』が第6回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年に『家族狩り』で第9回山本周五郎賞を受賞。2000年にベストセラーとなった『永遠の仔』で第53回日本推理作家協会賞を受賞。09年『悼む人』で第140回直木賞を受賞。13年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

s-kozy

71
裏表紙にある本の紹介文に「著者の新たな代表作となる」と書いてあるのも納得の作品。あの震災から4年半、深夜に海に潜り被災者たちの遺留品を回収するダイバーの物語。海底には津波にさらわれた町が残されていた。小説だからこそ描きうる犠牲となってしまった人の無念、残された者の後悔・罪の意識。なぜこんな思いを抱えながらも生きていくのか?人が生きていくには、どこかに希望が必要なのでは?「さすが天童荒太」と唸るしかない素晴らしい小説だった。2019/11/01

rico

58
月の輝く夜、あの事故で立入禁止となった海に密かに潜り、波に飲み込まれた人々の残滓を探し求める舟平と彼を取り巻く人々の想い。物語としては薄い感じもする。しかし、何度も現地を訪れ「書かせていただきます」と祈った作者の真摯な姿に、心揺さぶられずにはおれない。人の気配が消え、月明かりの中その痕跡だけが遺跡のように佇む光景は、未曾有の災害と人が誤った選択を重ねた結果であっても、息をのむほど美しく、そして哀しい。あの日から8年。多分何も終わってはいない。2019/03/08

カブ

50
心の真の部分がずっしりと重い読後感です。震災後の月の明るい深夜、立ち入りが禁止されている海に潜り、被災者の遺留品を回収する舟作もまた、津波で両親と兄を無くしている。潜水の描写は息が詰まるようで、苦しい。震災後8年が経ったが復興はまだまだなのだと思った。2019/03/28

JACK

37
☆ 東日本大震災の津波で海に沈んだ遺留品を被災者からの依頼で回収する舟作(しゅうさく)。原発事故で汚染され、立ち入り禁止となった海には、明るい満月前後の夜で、波が穏やかな日しか潜ることが出来ない。そんな彼の前に、亡くした夫の指輪を探さないでほしいという女性が現れる。彼女の真意は…。舟作が無理して潜ろうとした際に、彼を引き留める何者かの声が聴こえるシーンは涙なしには読めませんでした。「戻れ、戻りなさい、何をしている、せっかく助かった命なんだぞ、お前を待っている人がいるだろう。」ここ数年で一番泣いた本です。2019/04/19

西君04

27
東北大震災のその後、今生きている人は今の自分に納得していない、後悔している、自身の代わりに死んだ人がいる、あの時自分があーしなければ、あの人は生きていた。最愛の人の死んだ証拠がなければ、前向きに生きるための選択ができない。舟作自身も悩みながらダイビングして遺品を持ってくる。そして生への渇望、それは性への渇望でもあった。人間の生きるとは何か、大災害の後、残されたものの心の傷は、癒えるものではなく一生傷口を何かで隠していくもの。あとがきも著者の真摯な思いが伝わり良かった。2020/08/07

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