文春新書<br> 鬼才 五社英雄の生涯

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文春新書
鬼才 五社英雄の生涯

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  • サイズ 新書判/ページ数 317p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166610877
  • NDC分類 778.21
  • Cコード C0295

出版社内容情報

刀がぶつかり肉を斬る効果音の発明。遺したものの大きさに比して無視に近い扱いを受けてきた鬼才。稀代の“ホラッチョ”真実の物語。『鬼龍院花子の生涯』『極道の妻たち』『陽揮楼』『吉原炎上』『三匹の侍』『人斬り』……極彩色のエンターテイナー、映画監督・五社英雄。

五社作品の持つ情念に魅せられた著者は関係者への徹底した取材を重ねるが、その生涯を描き出すのは困難を極めた。稀代の“ホラッチョ”五社の証言は、背中の彫り物ひとつをとっても同じ人物のものとは思えないほどときにブレる。どこまでが真実でどこからが嘘なのか? これは、全身エンターテイナー──「人を喜ばせる」ことに生涯をかけた男の、ハッタリ上等、虚々実々の物語である。

テレビ界出身だった五社英雄は、長らく日本の映画評論界から不当に無視に近い扱いを受けてきた。その言動は常に毀誉褒貶の対象だった。真っ白なジャケットとズボンで敵だらけの現場に乗り込み、水たまりがあればそのジャケットを脱いで女優にその上を歩かせて周囲の度肝を抜き(しかも翌日にはまた新品同様の白ジャケットで現れる)、80年には銃刀法違反で逮捕され、一時は映画界を追放されて、すべてを失った。

しかし、現在の時代劇やアクションは五社の存在なくしては語れない。今では当たり前の、刀がぶつかり合い、肉を斬り骨を断つ効果音。これらを最初に生み出したのも五社だった。テレビの小さな画面でいかにして映画に負けない迫力や殺気を出すか? 悩んだ末に辿りついた発想だった。

自らの人生も「演出」した男はなぜその背中に鬼を掘り込んだのか? 台本にはなかった「なめたらあかんぜよ!」の秘密とは?

虚実ハッタリ入り乱れた生涯に翻弄されながら、春日太一が渾身の取材で「鬼」の静かで哀切な真実に迫る。

春日 太一[カスガ タイチ]

内容説明

『鬼龍院花子の生涯』『極道の妻たち』―極彩色のエンターテイナー、映画監督・五社英雄。肉を斬り骨を断つ効果音の発明など遺したものの大きさに比して無視に近い扱いを受けてきた鬼才。自らの人生も「演出」した男はなぜその背に鬼を彫り込んだのか?虚実ハッタリ入り乱れた生涯に翻弄されながら、春日太一が渾身の取材で「鬼」の真実に迫る。

目次

序章
第1章 情念
第2章 突進
第3章 転落
第4章 復活
第5章 未練

著者等紹介

春日太一[カスガタイチ]
1977(昭和52)年東京生まれ。時代劇・映画史研究家。日本大学大学院博士後期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜勤中の寺

80
春日太一のこういう本は面白い。実録講談だと思う。五社英雄、懐かしい名前である。私が芸能への関心と性に目覚めた思春期に度々目にした名前である。美人女優のパイオツを山ほど拝ませてくれた監督である。しかしパイオツばかりに気を取られ、その多作をまともに鑑賞した事は殆どなかった。十代の頃聴いていた今田耕司&東野幸治のラジオ『ヤングタウン金曜日』で、二人がアシスタントの設楽りさ子(現・三浦知良夫人)に「五社英雄の映画出たら乳揉まれるで」とセクハラしていた。当時、その名は笑いのネタになる固有名詞になっていたのだ。→続。2016/09/25

keroppi

72
五社英雄監督作品では、勝新太郎、仲代達也、石原裕次郎、三島由紀夫が出演した「人斬り」が好きだ。最近、wowowで初期の映画作品も見た。ケレン味があり、激情がほとばしるような、荒々しい作品群。監督自身も、ハッタリをかませ、虚実入り混じるような人物だったようだ。開局当初のフジテレビでテレビドラマを撮り、そこから映画界に入っていく。ハッタリなくしては生きられなかったのだろう。情熱で書きなぐられた台本や全身刺青の写真からも、彼の激しさを感じられる。映画に取り憑かれた異端の監督の生涯は、まさしく映画のようだった。2022/10/22

おかむら

39
春日さんの他の本で五社英雄の強烈話はちょこちょこ読んでましたが、こうして丸々1冊五社英雄を読める幸せ。破天荒映画人。錚々たる役者役者さんたちとのエピソードがまた楽しい。なにせ堤真一がヒヨッコ扱い。あとこれ読んで思い出したのは石原真理子の新体操リボン。あったなー。できれば巻末に友近との対談とか載ってればさらに楽しめたなー。アメトークの五社英雄芸人(友近1名)は最高だったもんなー。2016/11/16

ばんだねいっぺい

34
五社監督のルックスが年を追うごと狂気を孕み凄味を増していくことに驚いた。思想の肉体化。筆者の好きなものへ情熱を注ぎ込む姿勢がとても好ましく感じる。2016/09/13

ぐうぐう

28
『天才 勝新太郎』の春日太一ということで、やや期待しすぎたか。終戦直後、まだ十代の五社英雄が父に強いられ入れた刺青のエピソードが、実は五社の虚言であることを明かす序章は、ツカミとしては充分だ。そのまま読者を五社の虚実入り混じる波乱万丈の人生に引きずり込むかと思いきや、そうはならない。五社英雄という人物に魅力がないわけではない。むしろその逆で、あり余るエピソードが五社には付きまとうのだ。あり過ぎて、どれを採用するか、春日が迷いながらペンを進めているような印象を受けてしまう。(つづく)2016/09/06

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