出版社内容情報
切り盛り上手、美しく逞しい主婦だったこの人は、詩人の目で記録を残した。日記文学史上の傑作『富士日記』抄、綺羅星の如き随筆群
女性作家の名随筆アンソロジー第五巻。この巻では川上弘美氏が敬愛する書き手・武田百合子の日記、随筆から厳選。作家・武田泰淳との富士山麓別荘での十年余にわたる生活を綴り、泰淳の死後発表されその研ぎ澄まされた言語感覚に世間が驚愕した『富士日記』からの抜粋と、掌編小説のような逸品が並ぶ『ことばの食卓』から数篇、娘・武田花と遊ぶ日々が綴られた『遊覧日記』『日日雑記』からも数章。夫亡きあとの文章からは「哀しみ」が行間から漂い、自然に泣けてくる名文が続きます。選者による巻頭エッセイと、研究者による解説、略年譜付き。
内容説明
富士山麓で夫と見た、聞いたこと。戦前の少女時代、娘と遊んだ晩年の日々。武田百合子のまわりにはいつも驚きがあった。
目次
『富士日記』より(昭和三十九年;昭和四十年 ほか)
『ことばの食卓』より(枇杷;牛乳 ほか)
『遊覧日記』より(浅草蚤の市;上野東照宮 ほか)
『日日雑記』より
単行本未収録エッセイ(椎名さんのこと;富士山麓の夏)
著者等紹介
武田百合子[タケダユリコ]
1925年(大正14年)9月25日神奈川県横浜市神奈川区に生まれる。1938年(昭和13年)4月、神奈川県立横浜第二高等女学校に入学する。1943年(昭和18年)3月に同校を卒業。1977年(昭和52年)10月(上巻)と12月(下巻)、『富士日記』(中央公論社)刊行。同書により第十七回田村俊子賞を受賞する。1979年(昭和54年)2月、『犬が星見たロシア旅行』(中央公論社)刊行。同書により第三十一回読売文学賞を受賞する
川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年、東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。96年、「蛇を踏む」で第115回芥川賞を受賞。2001年、『センセイの鞄』で第37回谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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