出版社内容情報
そもそもは鳥の羽ばたきの音だった「粛々」。他にも、堂々、酩酊、辟易、溌剌など様々な例を取り上げ、中国で生まれ日本で育った漢字文化の特異な歴史を探る。
内容説明
復興に向けて粛々と努力します。―政治家や役人がよく使う「粛々」ということばは、元をたどると、古代中国で鳥が羽ばたくようすを表す擬態語だった。我々がふつうに使っている漢字の熟語の中には、このように元は擬態語だったものが、実は多数含まれている。それらは元はどういう意味で、どのように輸入されて「日本語化」していったのか…。
目次
プロローグ そのことばはどこから来たか?
第1章 “漢字の擬態語”入門
第2章 中国語から日本語へ
第3章 受け継がれる“ことば”
第4章 変化の中のきらめき
エピローグ “ことば”の大河のほとりで
著者等紹介
円満字二郎[エンマンジジロウ]
1967年、兵庫県西宮市生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し、高校国語教科書や漢和辞典などの編集を17年近く担当。現在、フリーの編集者兼ライターとして、主に漢字文化関係で仕事を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
4
ふむ2024/03/02
てながあしなが
3
粛々も、齷齪も、彷徨も、擬態語だったのだという。いや、ほんと目から鱗‼漢和辞典をもともと読む習慣はあったのだが、そこで書かれている字義にまで疑問を持たなかったのも不思議なくらい。これは小学生の時に読んでたら人生変わってただろうなぁ。2018/11/02
kenitirokikuti
2
堂々、辟易、粛々、丁寧、楚々などは擬音語のたぐいだったという。詩経やら史記や論語、唐詩など。また、それらが日本語となるときにはどうしても大陸での音のニュアンスが伝わらないため、日本独自の意味に変化しがちだそうな。楚々は女性のしぐさではないし、粛々は「鞭声粛々夜河を渡る」のイメージではない。2016/07/02
山中崇之
0
タイトルからネガティブな漢字解説の本かと思いきや、とても素直に漢字熟語の生立ちを説明した本。 「粛々」はじめ、「堂々」「丁寧」「揶揄」「逍遥」「酩酊」「齷齪(アクセク)」「矍鑠(カクシャク)」「悠々」「飄々」などの語源を、中国の漢詩、転じて日本の古典などから紐解いていく。 漢詩は詳しくないが、白楽天の「切々」や杜甫の「颯爽」などはやはり想像力をかきたてる。 今以上に漢字熟語へのイマジネーションを喚起する、とても愉しい本。2011/11/15
ホウジ
0
日本語に「ひらひら」「ごつごつ」などの擬態語があるように、「粛々」「辟易」「逍遙」などの漢語の擬態語について論じた一冊。元来、擬態語とはもっとも翻訳の難しい言葉である。それが中国より日本へ輸入された際にどのような変化があったのか、中国での用例をたどりながら解説されるのが面白かった。古来の日本人がいかに苦心して中国の文化を取り入れようとしたか、その一端が伺えます。2011/12/21
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- 和書
- 出雲大社 (第2版)