新潮文庫
「鉄学」概論―車窓から眺める日本近現代史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 255p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101345802
  • NDC分類 686.21
  • Cコード C0195

内容説明

開業から百四十年、鉄道はもはや、日本人と切っても切れない存在になった。その発達は都市の形成に影響を与え、文学の一ジャンルを生み、沿線に特有の思想を育てた。また天皇制支配を視覚的に浸透させる目的で活用されたお召列車での行幸啓など、国家や政治とも密接な関わりがあった―鉄道を媒介にして時代を俯瞰する、知的で刺激的な「鉄学」入門。

目次

第1章 鉄道紀行文学の巨人たち
第2章 沿線が生んだ思想
第3章 鉄道に乗る天皇
第4章 西の阪急、東の東急
第5章 私鉄沿線に現れた住宅
第6章 都電が消えた日
第7章 新宿駅一九六八・一九七四
第8章 乗客たちの反乱

著者等紹介

原武史[ハラタケシ]
1962(昭和37)年、東京都生れ。早稲田大学政治経済学部卒業。国立国会図書館、日本経済新聞社勤務を経て東京大学大学院博士課程中退。現在、明治学院大学教授、専攻は日本政治思想史。著書に『昭和天皇』(司馬遼太郎賞受賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞受賞)『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞受賞)『大正天皇』(毎日出版文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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まーくん

51
日本政治思想史ご専門の原武史先生、NHK番組「知る楽」のテキストが元に。西田幾多郎「哲学概論」をもじって文明史的雰囲気を装っているが、鉄道趣味感が滲み出ている(いい意味で)。三人の鉄道愛好文学者のうち宮脇俊三氏の著作はいつも新刊ですぐに読んでいた。通勤族の反乱、上尾事件も良く憶えてる。当時の国鉄は確かにひどかった。ストには迷惑を被った。関西には余り縁がないが、阪急のマルーン色車両には思い出が。幼子を残して逝った同僚の故郷・神戸での葬儀。岡本の教会からの帰り道、重い気持ちで乗り込んだ。震災の少し前のこと。2019/01/05

おさむ

39
「鉄道は歴史を乗せているのです」。あとがきの宮部みゆきさんの言葉通り、本著は主に首都圏の鉄道にまつわる大小の歴史をひもといています。NHKの番組をまとめたものですが、読み物として楽しめます。とりわけ新宿駅物語の第6章、乗客の暴動を記した第7章が白眉です。天皇問題だけでなく鉄道についてもこれだけ深い知見を持つ原武史さんには改めて脱帽します。どこか佐藤優さんに通じる有能さを感じます。2018/11/21

あちゃくん

38
鉄道をキーとして、文学のことや天皇のことや戦前戦後の社会情勢のことなど幅広く論じた、鉄学の本。いろいろ興味深い話題が多かったけど、特に新宿駅や上尾駅の騒動の話は初めて聞いたので、新鮮な驚きがありました。2014/10/07

piro

33
再読ですが内容はすっかり忘れていました(笑)。日本の政治思想史を専門とする鉄道好きの著者が、文学や都市の発展について鉄道の観点から考察する一冊。気軽に読めるけれど、なかなか興味深い内容でした。鉄道紀行文学の三大家(内田百閒、阿川弘之、宮脇俊三)について書かれた章は読書欲・旅行欲共にそそる内容。官におもねる東京(東急)、官から独立する大阪(阪急)の発展の比較も気質の違いが露わになって面白い。西武は住宅開発ではだいぶ失敗していたのだなぁ。それに比べて東急のブランド戦略は絶妙。2021/05/05

さきん

30
鉄道と社会とのつながりについて。鉄道オタクから天皇と鉄道との関係まで、天皇の行幸に関しては、プロイセンの皇帝がやっていたことを基に始めたのではないかと思う。天皇が退位する意向を示し、その流れが受け入れられたのは、憲法違反というのは共感。その発言を通したのは、長年にわたる鉄道、自動車を活用した全国巡行であったと著者は指摘する。団地の赤化が進んだことに対してはレッドアローの本に詳しく書いてあり、本書では軽く触れられている程度。2020/05/06

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