出版社内容情報
おまえを主人公にしてやろうか! 西遊記の悟浄、三国志の趙雲、史記の虞姫。歴史の脇役たちの最も強烈な“一瞬”を照らす五編。おまえを主人公にしてやろうか! これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語――。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた……。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬”を照らす五編。
万城目 学[マキメ マナブ]
内容説明
おまえを主人公にしてやろうか!これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語―。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた…。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬”を照らす五編。
著者等紹介
万城目学[マキメマナブ]
1976(昭和51)年、大阪府生れ。京都大学法学部卒業。化学繊維会社勤務を経て、2006(平成18)年に、『鴨川ホルモー』でボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
296
各作品の脇役にスポットをあて、スピンオフというより、一部分を切り取って万城目学さんが新たに生命を吹き込んだ短編でしたが、面白いんだけど、個人的には物足りなさを感じました。中編ぐらいなら、もっと面白く読めた気がします。五つの作品の中では『父司馬遷』が良かったです。万城目学さんの作品では、生真面目で異質な作品に感じました。ユーモアのある万城目ワールドが封印されて、万城目学というより真面目学でしたね。2018/05/22
KAZOO
230
万城目さんの最新の文庫です。万城目さんがこのような中国の歴史がらみの小説を書いてくれたとは嬉しい限りです。5つの短編が収められていますがどれも私にとってはかなり印象深く読みました。特に最後の「父司馬遷」は再度読み直したくなる短篇です。ある意味背景を知っていた方が印象に残るのではないでしょうか?長編を中国物で書いてくれないですかね。2017/01/19
ehirano1
214
てっきり柳広司さんが書いたものと勘違いして読んでいましたがホルモーの万城目さんでした・・・(柳広司さんのオマージュモノは結構好きです)。5題とも大変興味深く読みましたが、「父司馬遷」への著者の力の入れようはひしひしと感じました。やはり「モノを書く」と「モノを記録する」という点で相互に何か通じるものがあるのではないかと思いました。2020/02/08
エドワード
189
先日職場で話のついでに「李下に冠を正さずって言うだろ。」と言ったところ、誰も解らなかった。古典や漢文って、興味のない人には苦痛以外の何物でもないんだね。この作品、井上靖作と言われれば、そうか、と思うほど格調高い。ふざけマキメとは思えない思索に富んでいる。西遊記ファンの私にはやはり表題作が一番心に響く。いつも脇役の沙悟浄が道々考える人生。「いつもの展開がやってくるぞ。」の一文に笑い、八戒の「過程こそが一番苦しい。だが人間界ではそこに最も貴いものが宿ることもある。」の一文にうなる。「虞姫寂静」も良かったな。2017/01/03
扉のこちら側
164
2018年296冊め。著者にしてはずいぶんお行儀がよくまとまっていて、いつもの破天荒さがないが非常に面白かった。タイトルから全編西遊記の話かと思いきや、『三国志演義』『項羽と劉邦』等の名作の登場人物にも焦点を当てているのもよし。どの作品も面白かったが、『虞姫静寂』と『父司馬遷』が気に入った。2018/07/10