新潮文庫
完本 日本語のために

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  • サイズ 文庫判/ページ数 350p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101169118
  • NDC分類 810.4
  • Cコード C0181

内容説明

子どもに詩を作らせるな、文学づくのはよそう、分かち書きはやめよう、完全な五十音図を教えよう、正しい語感を育てよう…など、国語教科書をめぐる考察。愚問、珍問、怪問続出、ちんぷんかんぷんの国語入試問題批判。すでに歴史的名著といっていい日本語論のさきがけ『日本語のために』に『桜もさよならも日本語』を加えて新編集。いまこそ読みたい決定版「丸谷才一国語読本」。「日本人はなぜ日本語論が好きなのか」を新たに収録。

目次

1 国語教科書批判(子供に詩を作らせるな;よい詩を読ませよう ほか)
2 日本語のために(未来の日本語のために;現在の日本語のために ほか)
3 国語教科書を読む(分ち書きはやめよう;漢字配当表は廃止しよう ほか)
4 言葉と文字と精神と
5 大学入試問題を批判する(慶応大学法学部は試験をやり直せ;小林秀雄の文章は出題するな)
附録(歴史的仮名づかひの手引き;和語と字音語の見分け方 ほか)

著者等紹介

丸谷才一[マルヤサイイチ]
1925(大正14)年、山形県鶴岡市生れ。東大英文科卒。’67(昭和42)年『笹まくら』で河出文化賞を、’68年『年の残り』で芥川賞を受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳と幅広い文筆活動を展開。『たった一人の反乱』(谷崎潤一郎賞)『後鳥羽院』(読売文学賞)『忠臣藏とは何か』(野間文芸賞)『輝く日の宮』(泉鏡花文学賞)等、多くの著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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AICHAN

34
図書館本。痛烈な国語教科書批判が痛快。「教科書は規範である。そして国語教科書の文体は、一国民の文体意識の規範となる性格のものである。劣悪な文章で国語を学んだ国民は、文体についての感覚を失ふにちがいないし、そのことは必然的に精神の衰弱をもたらすだろう」「文化と文体とはもともとさういふ密接な関係にあるものなのだ。文体は思考の姿かたちだからである。それゆゑ国語教科書は名文を収めなければならず、決して駄文を含んではならない」。まったく同感。2017/01/25

シタン

27
ここに述べられる国語教育批判は、国語教育に違和感を抱き続けていた自分のもやもやを晴らしてくれた。何よりも丸谷氏の文章がうまいため説得力がある。残念ながら、現代になっても丸谷氏の言うようには改善されていないようだ。しかし内容が深遠な日本語論・文学論に至ると、もっと国語を勉強していればよかったという後悔の念に駆られる。一体どうすればよかったのか。 吉川幸次郎の文学論とその批判が興味深い。「文学は言葉で作るものであって、文章を読んだとき頭に浮かぶのはその内容や情景ではなく、その言葉に付随した歴史や伝統なのだ。」2020/04/05

魚京童!

25
変な日本語だなって思ったら、そういう人らしい。この中途半端な批判の仕方が好き。なんだろうね、この中途半端感。私と一緒だ。だから好きなのかもしれない。中途半端なんだよね。なんか。言ってることは間違ってないのかもしれないし、誤っているのかもしれないけど、なんか中途半端。だから面白い。多分内容は面白いとか言っちゃいけないんだけど、『ふっ』て笑いたくなる内容。何が面白いんだろうね。だからバカにするなって怒られるんだと思う。他の人とは感性が違うのだ。そこだけは多様性の保護が認められないのだ。戯るなって言われるのだ。2020/02/28

Yuuki.

22
いただいた本。くれた方から歴史的仮名遣いで書かれているので読みにくいかも、と言われたけれど、そこは意外とすぐに慣れてスラスラ読めた。しかし、最後まで慣れなかったのは著者の言葉選び。物事を批判したり反対意見を述べたりする事は悪い事だとは思わないし、同意できる意見も多々あった。しかし、著者の文章が相手を馬鹿にしているような、あまりにも上から目線過ぎる文章に感じられて、あまり気分が良くなかった。単純に、この著書の文章は合わない。意見は部分的に合うけれども。2020/09/21

navyblue

20
発行年昭和45年、この時代の国語教育批判なら今とは違うのかと思いきや、違和感なく読み進めることができた。良い詩を読ませることは、大賛成だ。「日本語がこれほど力強く、鋭く、匂やかで、豊かで、一言にして美しい言語であることを意識的にしろ、無意識的にしろ感知させる」ことができるという。また、文体とは思考の姿形であるから、国語教科書には名文を収めよ、という主張にはなるほどと思った。日本語への愛がページから溢れるような素晴らしいエッセイ。旧仮名遣いで書いてあるが、読みにくいわけではない。2017/05/09

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