出版社内容情報
西條 奈加[サイジョウ ナカ]
著・文・その他
内容説明
長唄の師匠であるお蝶は三味線の腕前と美声で気性も粋な弁天との評判。お蝶の兄嫁の沙十はたおやかな色白美人で観音のたたずまい。人呼んで“弁天観音”美人姉妹は、頼まれ事を抜群の機知で解決していく。にぎやかな日々の裏で、お蝶を狙う影が大きく動き始める。凛とした痛快時代小説。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』(新潮社)で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。’12年『涅槃の雪』(光文社)で第18回中山義秀文学賞を受賞。’15年『まるまるの毬』(講談社)で第36回吉川英治文学新人賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
94
美人姉妹が活躍するからか、全体的に凛とした雰囲気が漂います。長唄の師匠・お蝶と物腰柔らかな義理の姉・砂十の活躍が痛快でした。彼女たちが次々と頼まれ事を解決していきます。次々現れる曲者の男たちもなんのその。日常時代ミステリーかと思っていたら何やら大きな陰謀に巻き込まれているようで、絡む人たちが皆怪しく見えました。ハラハラドキドキの展開で、最後は丸く収まってホッと一息。面白かったです。2015/10/15
goro@80.7
67
伝法な長唄師匠お蝶とおっとり義姉の沙十の美人姉妹が主人公。南町与力の榊家に持ち込まれた事件を追う二人なのだが、何者かがお蝶を襲う。父の死に隠された謎を追ううちに現れてくる大きな陰謀。お蝶を慕う千吉、怪しい雉坊、護衛の陣内は堅物、そして傾奇者のような四十次郎。誰が味方なのか!?沙十姐さんは方向音痴なのだけど薙刀を持たせたら鋭いのだ。お蝶を射止めるのは誰なのかも楽しみだけど、美人姉妹の活躍もまだまだ期待。ぜひシリーズ化をお願いします。2021/02/28
はつばあば
58
なんでこれだけ面白い本を積んで置いといたのか・・いつ購入したのかそれさえ忘却の彼方。余程他の本に気をとられていたのだろう。長唄の師匠お蝶と武家の過保護な兄とその嫁沙十。武家であるまじき「おとっつあん」と呼ばせた父親と粋な母親に育てられ啖呵切ったら逸品じゃないかと思えるほどのいなせなお蝶。私も方向音痴だけれど沙十さんほどでは無いと思うが下男に槍?薙刀?を持たせ闊歩する兄嫁。事件の数々とお蝶の周りの男がこれまた面白い。町人・商人・武士と選り取り見取り(^^♪。徳川も結界が張られていたようだが鬼は大丈夫なのか?2022/05/15
タツ フカガワ
48
高砂弁天の異名を持つ長唄の師匠お蝶と、彼女の腹違いで南町奉行所与力の兄榊安之の妻沙十が、次々起こる騒動を解決していく捕物連作。と思っていたら、後半はお蝶の父の死をめぐる陰謀話へと発展する。それもお蝶を取り巻く人たちの意外な顔が次々明らかになっていく展開が面白かった。まさかあの人が剣の達人だったとは。2021/06/13
豆乳くま
34
持ち込まれた相談事に乗り始めた長唄の師匠お蝶と義理の姉お沙十。商家の娘に悪いムシが着いただ、長屋に幽霊が出るだの相談を鮮やかに解決していく美人姉妹だ。そのうちお蝶の身に危険が迫り、周りの人々が敵か味方か解らなくどんどん物騒な影が迫り来る。ユーモアもありサクサク読めた。皆魅力的な人々で続きがありそうな予感。2015/07/13