講談社学術文庫
ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇―ケンブリッジ1939年

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  • サイズ 文庫判/ページ数 615p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062922760
  • NDC分類 410
  • Cコード C0110

出版社内容情報

言葉の使用と規則の成立。ウィトゲンシュタイン哲学の根幹をなすテーマを、数学の基礎についての思考を土台に展開する魅惑の講義録!ウィトゲンシュタインの講義は、臨場感あふれ、また、哲学の思考の現場を味わえる貴重な記録として有名です。
学術文庫では、先に『ウィトゲンシュタインの講義 ケンブリッジ1932?1935』を刊行しました。これは、中期から後期に向かう時期の、いわゆる「言語ゲーム論」が、彼の中で熟していく過程を体感することができる講義でした。
本書『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇』は、明確に後期に属します。後期の『哲学探究』の思考が、濃密に出てくる講義になっています。
もちろん、死後、『数学の基礎』としてまとめられる数学論の構想の土台となった思考でもあります。
数学基礎論は、ウィトゲンシュタインの主要な関心のひとつでしたが、本講義の魅力は、その内容が、数学の基礎論にとどまらないところにあります。
言語論、規則論といった、まさにウィトゲンシュタイン哲学の根幹にあたるところを、じっさい、どのように思考をめぐらせて熟成させていったのか、その哲学の現場が、まさに実況中継としてみえてくるのが、本講義の魅力です。
もうひとつは、他の講義とちがって、出席している著名な学生たちが、活発に発言し、ウィトゲンシュタインがそれに真っ向から応じているのです。
その中心となっているのは、アラン・チューリングです。チューリングとウィトゲンシュタインの丁々発止を聞いているだけで、哲学の現場を体験できます。
数学の構造と、言葉の使用と、規則の成り立ち、これこそが、いまだに世界中の哲学読者を魅了してやまないウィトゲンシュタイン哲学のエッセンスでした。
講義という現場で、ぜひ、そのスリリングな面白さを味わってください。

コーラ・ダイアモンド[コーラ ダイアモンド]
編集

大谷 弘[オオタニ ヒロシ]
翻訳

古田 徹也[フルタ テツヤ]
翻訳

内容説明

後期ウィトゲンシュタインの記念碑的な著作『哲学探究』で展開される思考は、どのようにして育まれていったのか。「一、二、三…」と数えるとは何をすることか。一対一対応とは。矛盾律とは。数学の基礎についての議論は、言語、規則、命題といった彼の哲学の核心と濃厚に響き合う。後期ウィトゲンシュタイン哲学への最良の入り口となる伝説の講義。

著者等紹介

ダイアモンド,コーラ[ダイアモンド,コーラ] [Diamond,Cora]
1937年生まれ。ヴァージニア大学名誉教授

大谷弘[オオタニヒロシ]
1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。武蔵野大学専任講師

古田徹也[フルタテツヤ]
1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。新潟大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おつまみ

32
僕たちが自明と思われる出来事、意識、現象に対して、「本当に確かなの?」という思考の探索をしていた。融通無碍。2019/08/13

杜のカラス

29
難しい本だった。少しづつ少しづつ読みだして、そのうちなんとなく、数学というより哲学的な物の考え方の方向に流れが変わった。数学自体の基礎的な理解がかなり不足しているので、数学面での理解には、大変難渋した、もちろん結果的に数学を理解したなんてことはない。ただ、その基礎にある哲学的な考えは、少しは同感、学べたと思う。自分で理解したと思わず、ひとつひとつ命題とか公理とか、それだけを考えず、哲学として考えること。それもよくわかってないが、どう生きるかどう考えるかをなんとなく共感を覚える本ではあった。もっと数学を。2023/08/26

壱萬弐仟縁

24
著者が関心を向けるのは、像をもつということが、何かが通常の仕方で進行していることの保証とはならないケース(30頁)。経験に依存しているというのは、もし事情がいまある仕方と異なっていたら我々はこの計算を使用しないであろうからである。この命題の証明は、それが経験において有用であるような結果を与えるという理由によってのみ、証明と呼ばれる(70頁~)。正七角形を定規とコンパスで作図することは不能(ガウスらが証明81頁)。 2015/04/22

やまやま

16
チューリングや他の学生はよくこの頑固で偏屈な哲学者と頑張って授業を続けたなとまずは思いましたが、何度でも「否」を繰り返すのはソクラテスに倣ってあり得る教育法かとも思います。翻訳で大先生に学生が敬意を払って尋ねるという文体を取っているあたりは訳者の価値観が反映している気もしますが、実際の雰囲気はどうだったんでしょうね。学生たちの方が「常識的な」意見を述べているような気がします。無限に関する問答や矛盾命題に関するチューリングとのやりとりを例に挙げます。大先生は異なる仕方で同じ言葉を使う混乱をあえて増幅します。2021/09/01

キョートマン

15
難しくて半分くらいしか理解できなかったと思う。数学とか論理学で無意識に使われている前提には根拠がないというけれど、そうだとしたら長い論述の末に他の色々なものの拡張となっているような見事な数学の理論は一体何なのだろうか。もしかしたらそれについても書いてあったかもしれないけど、この分量の哲学書を読み返す気力がもうない。2020/09/27

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